キャリアのめまいを経験する人が増えているのはなぜか
キャリアのめまいは、AIによる変革、人員削減、経済の不確実性、予測可能なキャリアパスの減少など、複数の要因が重なることで引き起こされている。前述した米国心理学会の調査では、労働者の44%が、景気後退によって1年以内に職を失うのではないかと心配していることがわかった。これらの要因が相まって、かつてキャリアの成功や安定を定義していた多くの前提に疑問が投げかけられている。
キャリアそのものも、非線形的になっている。前述した『Annual Review』の研究によれば、現代のキャリアはますます自己主導型になり、生涯を通じて複数の転機を伴うようになっている。こうした変化により、どのようなスキルを磨くべきか、いつ方向転換すべきか、成功をどう定義すべきかについて、明確なロードマップを描きにくくなっている。
キャリアのめまいは、どのように現れるのか
キャリアのめまいは必ずしも、劇的なキャリアの危機という形をとるわけではない。多くの場合それは、将来に対する根強い不安感、変化し続ける期待に追いつこうとするような焦燥感として現れる。
次のような状況が当てはまったら、キャリアのめまいを経験しているかもしれない:
・自分のスキルが5年後、10年後も通用するのかと不安を感じている。
・ただ時代遅れにならないためだけに、絶えず自分を刷新しなければならない、というプレッシャーがある。
・職場への忠誠心は、今も雇用の安定につながるのか、と疑問を抱いている。
・AIや新興技術の発展に付いていけないのではないか、と心配している。
・経歴は立派に見えるが、今後についての不安がどんどん大きくなっている。
こうした感情は必ずしも、今の仕事が自分に合っていないとか、キャリアの選択を誤ったということではない。むしろ、これまでの世代を形づくってきた前提の多くが通用しなくなっている、という現実を察知していることの表れだ。キャリアのめまいが存在する現実をそのまま認めることで、未来を予測しようとするのではなく、未来を切り開くために必要な柔軟性を養うことに注力しやすくなる可能性がある。


