地方創生は、働く人の幸福から始まる
パソナグループはこれまで淡路島に本社機能の一部を移転するだけでなく、飲食、宿泊、テーマパークなど、多様な事業を展開してきた。一方で、首都圏からのアクセスの良さで日帰りができることもあり、淡路島内の他施設への経済波及という点においては十分でなかったかもしれない。しかし、今回の長期滞在型ウェルネス施設は、高単価かつ繁閑差の小さいモデルになり、淡路という場所にとって重要な意味を持つ。
だが大日向氏に話を聞くと、このプロジェクトの本質は、単なる観光事業の収益化にとどまらないことが分かる。
「地方創生は、働くスタッフ、働く社員が幸せじゃないと難しいと思っています」
彼女が淡路島に来て最初に取り組んだのは、社員の子どもたちの教育環境と医療環境を整えることだった。地方には自然や広い住環境がある一方で、教育、医療、美容、生活インフラなどに不安がある。そこで社員寮やオフィス、福利厚生、企業内保育園、さらには国際バカロレアの教育環境まで整えてきた。
「みんながここで誇りを持って、自信を持って働ける環境を作る。それが地方創生にとって一番大切だと思っています」
そこに住まう人たちそのものが、この地のアンバサダーになるからだ。
社員の声から生まれたリーダーシップ
大日向氏の歩みも、この施設の思想と深くつながっている。
20代で起業。女性二人で会社を立ち上げた。新会社法によって、女性一人でも資本金0円でも起業できる時代が始まった頃だった。その後、パソナグループの若手起業家支援プロジェクトに関わり、最初に任されたのが、社員が毎日会社に来たくなるような取り組みだった。
カフェの運営、花や木を使った空間づくり、イベント、英語を学べる仕組み。高額な広告を打つのではなく、社員が心から会社を好きになり、その思いが口コミで広がるようなコンテンツを作ってきた。
「特別な技術があるわけではありません。ただ、自分自身がこうされたら嬉しいな、こういうものがあったらいいな、という感覚で考えてきました」
そして、その感覚は淡路島でも変わらない。社員の声を聞き、「こんなものがあったら嬉しい」という一つひとつを形にしていく。その積み重ねが、THE PASONA natureverse retreatの背景にもあるという。



