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リーダーシップ

2026.07.06 15:05

AIは私たちを「馬」にするのか? 従業員の過半数が恐れる本当のリスク

stock.adobe.com

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最近、ある同僚が勤務先で2日間のAIプロンプトエンジニアリング研修を受けた。開始から2時間ほど経ったところで、彼女は手を挙げた。

「倫理についてはいつ話すのですか?」と彼女は尋ねた。「つまり、AIを何に使い、何には使わないのか、という話です」

部屋は静まり返った。主催者たちは不機嫌そうだった。「直接は扱いませんが、研修全体に織り込まれています」という返答だった。

つまり、まったく考えていなかったということだ。

彼女が求めた監督のひとときが「面倒ごと」として扱われた事実こそ、いまビジネスの現場で起きていることを最も端的に物語っているのかもしれない。多くの企業がAI導入を急いでいるが、どのような条件で導入するのかを定義するために立ち止まる企業はほとんどない。

見過ごされていた動画(今になって)

11年前、CGP Greyという風変わりな教育系YouTuberが「Humans Need Not Apply(人間はお呼びでない)」という短い動画を投稿した。以来、再生回数は1900万回を超えている。当時、多くの人は「興味深いが、たぶん誇張だろう」と受け止めていた。

その動画でGreyは、何世紀にもわたり馬が人類文明に欠かせない存在だったと論じた。馬は畑を耕し、荷物を運び、戦争を戦う手助けをした。そこにエンジンが登場した。

馬が置き換えられたのは、仕事が下手だったからではない。より安く、より速く、文句も言わずに同じ仕事をこなせるものが現れたからだ。

Greyの不穏な問いはこうだ。なぜ人間だけが例外でいられるのか。

その動画が再び拡散している。今度は、誰も笑って受け流してはいない。

従業員が恐れていること

2026年のマーサー・グローバル・タレント・トレンド調査(世界の労働者とビジネスリーダー1万2000人を対象)によると、AIによって職を失うことを恐れる人は40%で、わずか2年前の28%から増加した。米国では恐怖を抱く労働者が60%に達する。

若い世代ほど切実に感じている。18〜24歳の労働者は、職が時代遅れになることを心配する割合が年長の同僚より129%高い。Z世代の求職者のほぼ半数は、AIによって学位の価値がすでに下がったと答えている。彼らは多くの時間とお金をかけてスキルを学んだが、その有効期限は約3年しかないと感じているのだ。

そして特に印象的なのは、同じ調査で最大の不安が「失職」ではなく別のものだった点だ。過半数の労働者が、2026年の労働力における最大の問題は「AIが人間のスキルを低下させること」だと答えた。これはどういう意味か。AIが仕事を引き受けるにつれ、私たちは自分で物事をする能力や必要性を徐々に失い、自分の判断や能力への自信も薄れていくのではないか、という恐れである。

こうした変化の結果、どこの休憩室でも響く懸念はこうだ。「自分の価値を保つものは何なのか?」

正直に言おう。世界はまだ終わっていない

とはいえ、過度に悲観へと傾きすぎる前に、冷静な視点が必要だ。大量失業やロボットによる支配といった最悪のAI予測は、これまでのところ現実になっていない。世界は回り続け、仕事は生まれ続け、GDPも伸び続けている。

もちろん、AIが一部の職を置き換え、多くのタスクを代替することは誰もが分かっている。本当の問いは、リーダーが先回りしてできる限り多くの人材を維持し、再配置できるようにする意志があるかどうかだ。

歴史には良い例も悪い例もある。ある技術は仕事を変え、人々が新たな職へ移ることを可能にした。別の技術は、職業そのものを不要にした。馬は新しい役割へ移ったのではなく、置き換えられた。トラクターやトラックを運転することは学べなかった。

だが、次に何が起きるかについて馬には発言権がなかった一方で、私たちにはある。人は学び、適応し、再訓練できる。ただし、いまの仕事が消える前に、リーダーが移行を助けてくれる場合に限る。

リスクは、組織が準備を先延ばしにしすぎて、最終的に「置き換え」しか残らなくなることだ。リーダーは避けて通れない問いに向き合わねばならない。新しい世界で人間がなお担うべきことは何か、そして私たちは何を失いたくないのか、という問いである。

言い換えれば、誰か(あるいは何か)が私たちの居場所を決めてしまう前に、自分たちの居場所を意図的につくれるほど私たちは主体的でいられるのだろうか。

『26世紀青年』の世界へ

マイク・ジャッジ監督による2006年のカルト映画『26世紀青年(Idiocracy)』では、平均的な男が500年後の未来で目覚め、自分が生存者の中で最も賢い人間になっていることに気づく。なぜか。他の全員が極端に愚かになっていたからだ。原因は「快適さ」だった。誰も考える必要がなくなり、だから誰も考えなくなった。

「500年」を、これから10年に訪れるAI依存の時代に置き換えれば、時間軸は加速するかもしれない。

実際、現実はすでに風刺に追いつき始めている。2025年のMITの研究では、AIのみに頼ってエッセイを書いた参加者は、脳内の結合が弱く、記憶の定着も低く、自分の仕事に対する当事者意識が薄れていた。Microsoft Researchの研究では、生成AIが批判的思考に必要だと認識される労力を一貫して減らし、AIへの信頼度が高い労働者ほど自分の判断を疑いやすいことが示された。

ハーバード大学の天体物理学者アヴィ・ローブはこう述べている。「最近、周囲の一部の人がAIプラットフォームを過度に使った結果、認知能力を失い始めていることに気づいた。この現象は、歩くことの代わりに公共交通機関を過度に利用した結果、筋肉が衰えることに似ている」

研究者はAIへの依存をDelegation Feedback Loop(委任のフィードバックループ)と呼ぶ。タスクを委ねるほど能力は低下する。能力が低下するほど、さらに委ねる。そしてそれが繰り返される。さらに、AIがより有能になるにつれ、私たちがタスクを手放す難易度の閾値は下がり続ける。いまや、取るに足らない複雑性のタスクまで委ねている。

一部の専門家は、より大きく、存在論的な問題がここにあるとも主張する。AIを効率化ツールとして使うのではなく、人間は自分で考えたくないのだとAIに学習させてしまっているのではないか。私たちはAIに、代わりにコミュニケーションをし、代わりに意思決定をしてほしいのだと、AIが信じ込むようになるのではないか。

『26世紀青年』の世界に生きているわけではないにせよ、その前日譚にいるのかもしれない。

求められるリーダーシップ

話をあの研修室、手を挙げた従業員の場面に戻そう。

米国企業の73%がすでに事業の何らかの側面でAIを採用している一方で、成熟したガバナンスが整っていると報告するのはわずか1%にすぎない。導入を急ぐあまり、責任ある実装の必要性を追い越してしまった。バイアス、プライバシー、安全性、透明性、人間への影響といった問いは、速度と生産性向上を優先するあまり無視されている。

私たちの友人は意地悪をしていたのではない。彼女は、この状況におけるリーダーシップがどこにあるのかを問うていたのだ。組織としての本気の立場を求めていた。AIを何に使い、何に使わないのか。どの意思決定やタスクは人間が担うべきなのか。どうすれば、監督機能を保ちつつ、仕事の中でも特に意義深い部分を維持できる未来を築けるのか。

立ち止まり、居心地の悪い問いを投げかけるという本能こそ、衰えさせてはならないリーダーシップの筋肉である。

forbes.com 原文

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