ウクライナは6月、ロシアに対する「兵站封鎖」を強化し、新たな戦術を導入した。道路橋や鉄道橋、とくにロシア占領下のウクライナ南部クリミア半島への補給に用いられている橋の破壊だ。
これは新しい展開である。というのも、ウクライナにはこれまで、橋のような頑丈な構造物を破壊するための装備を欠いていると考えられてきたからだ。ところが、この1カ月ですでに数本の橋が破壊されている。この数はウクライナが2025年の1年を通じて破壊した橋の数よりも多く、2024年や2023年の通年実績も上回っている。
「攻撃目標にされた橋はとても多い」と英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジャック・ワトリング博士は語る。
これは何か新たな秘密兵器が使われているわけではなく、ロシア各地の製油所への攻撃に投入されているものと同じ長距離攻撃ドローン(無人機)が精密に使用された結果だ。ほかに追加の手段や手法もいくつか組み合わされている。ドローンは橋を一度にではなく、少しずつ破壊している。
Ukrainian forces continue to destroy Russian-controlled bridges on key supply lines.
— OSINTtechnical (@Osinttechnical) July 1, 2026
Early today, over a dozen Ukrainian FP-1/2 attack drones swarmed the H20 highway bridge, dropping its deck into the Kalchyk River at the village of Hranitne. pic.twitter.com/e0dV8caLjQ
橋の破壊のために大型化してきた爆弾
ウクライナがかねて抱えていた問題は、十分な威力を持つ兵器の不足だった。たとえば2022年、南部ヘルソン州の橋に対して米国製HIMARS(高機動ロケット砲システム)の一斉射撃が試みられたものの、破壊するには至らなかった。2023年には、クリミアのチョンハル道路橋に対して英国製ストームシャドー巡航ミサイルによるものとみられる攻撃があったが、軽微な損傷にとどまった。どちらの橋も数日後には通行が再開された。
いずれのケースでも、使われた兵器が損傷を与えたのは路面だけだった。だが、橋を本当に使用不能にするには、道路や鉄路を支えているコンクリート製または鋼鉄製の橋脚などの支持構造を破壊しなければならない。
これは昔から難題だった。第二次世界大戦中に米軍が行った研究によれば、橋1本を破壊するには中型爆撃機が平均190ソーティ(延べ出撃回数)をこなし、合計で約320t(350米トン)の爆弾を投下する必要があることがわかった。これほど多くの出撃と爆弾を要するのは、爆弾を支持構造に直撃させるのが難しいからだ。裏を返せば、命中精度が上がれば大きな違いが生まれることになる。米軍は「爆撃精度を訓練学校で達成される水準近くまで向上させることができれば、必要な出撃回数を190ソーティから33ソーティに減らせる」と言及している。



