とはいえ、これほどの命中精度を実際の戦場で実現するのはまず不可能だった。そこで、英国の天才技術者バーンズ・ウォリスが考案したのが巨大な「地震爆弾」だった。この爆弾は橋の支持構造に直接命中させる必要はない。橋の近くに投下すると、地中深くまで貫通してから爆発し、その衝撃波によって橋を破壊する。ウォリスが設計した重量10t近くの「グランドスラム」爆弾は1945年3月、ドイツ北西部ビーレフェルトの鉄道高架橋に対して初めて実戦投入され、それを使用不能にした。
ただ、このような超大型爆弾が実際に役に立つ機会はまれであり、ベトナム戦争でも橋の破壊は依然として課題だった。ベトナム北部の有名なタインホア橋は、1965年に米空軍のF-105Dサンダーチーフ戦闘爆撃機30機がそれぞれ340kgの爆弾を8発投下した猛爆を含め、幾度となく破壊が試みられたものの、持ちこたえた。この橋を最終的に破壊したのは、新たに開発された兵器だった。コンクリート製の支持構造を正確に狙える重量900kg強の「ペイブウェイ」レーザー誘導爆弾である。それでも、タインホア橋を完全に使用不能にするにはこの爆弾ですら26発要した。
従来の常識では、大規模な橋を落とすには大型の精密誘導弾が多数必要になるとされてきた。また、ウクライナはそうした攻撃を遂行するのに必要な制空権も確保できてこなかった。しかし、ドローン革命によって状況は変わった。
無人機による橋梁破壊作戦
ウクライナがこの任務で主力として投入しているとみられる兵器は、自国企業のファイア・ポイントが手がける「FP-2」攻撃ドローンだ。根拠としては、攻撃現場で発見された残骸や、自社製品の戦果だと示唆する同社幹部のソーシャルメディア投稿が挙げられる。
The remains of a Ukrainian FP-2 middle-range strike drone that struck the road bridge in Russia-occupied settlement of Hranitne. https://t.co/MSZhVCg9jD pic.twitter.com/wlbKzYwrS1
— Status-6 (War & Military News) (@Archer83Able) July 1, 2026
FP-2は長距離型の「FP-1」の派生型で、燃料タンクの容量を減らして弾頭を大型化している。FP-1に比べると航続距離が約1600kmから約190kmへと短くなっている半面、弾頭重量は約50kgから約160kgへと3倍強に増強されている。
非常に重要な点は、FP-2が精密誘導能力を備えていることだ。つまり、操縦士はFPV(一人称視点)攻撃ドローンと同じように機体を目標へ誘導できる。
160kgという弾頭は米国のペイブウェイシリーズの基準から見れば小型だが、ファイア・ポイントがもたらしている強みはその数にある。FP-2は1日に百機単位で生産され、価格は1機あたり5万5000ドル(約890万円)程度とされる。別の航空機で運搬する必要もなく、人間のパイロットを危険にさらさずに必要な数だけ発射できる。


