Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は7月号(5月25日発売)より、「ボランジェ ラ・グラン・ダネ 2018年」。ピノ・ノワールの果実味の明るさとふくよかさを併せもっているので、アペリティフからお食事まで一本で通せるような、汎用性の高い1本だ。
シャンパーニュの名門のなかでも「ボランジェ」はひときわキャラクターがはっきりとしたメゾンだ。1829年の創業以来、家族経営を守り続けてきた数少ない存在であり、その哲学は一貫して「力強さとエレガンスの両立」にある。多くのつくり手が軽やかさや華やかさを追求するなか、「ボランジェ」はピノ・ノワールを主体とした構成によって骨格のある味わいを実現し、シャンパーニュに深みという価値をもたらしてきた。
ユニークなのは、シャンパーニュ地方で唯一専属の樽職人が常駐し、一次発酵のすべて、もしくは一部にオーク樽を使用していること。小樽で穏やかに微量の酸素を取り込みながら発酵させることで、ワインの香りと味わいに奥行きを生み出している。
「2018年は記録的に暑かった1年ですが、ブドウが過熟することもなくフレッシュな果実味を保ち、素晴らしいヴィンテージとなりました」と語るのは「ルグランジャポン」でセールスマネージャーを務める千北達朗だ。富裕層を中心とするワイン愛好家に広くコネクションをもち、ワインを販売しながら、店舗「ルグラン・フィーユ・エ・フィス東京」(東京・広尾)に立ち、接客を担当することもある。ワインのテクニカルなデータのみならず、楽しみ方や文化的な側面に至るまでくわしく、硬軟問わずに豊富な話題がワイン選びの参考になると定評のあるプロフェッショナルだ。
「『ボランジェ ラ・グラン・ダネ』は、その名の通り“偉大な年”にのみつくられるヴィンテージ・シャンパーニュ。このほどリリースされた最新ヴィンテージ2018はピノ・ノワールの果実味の明るさとふくよかさを併せもっているので、アペリティフからお食事まで一本で通せるような、汎用性の高いシャンパーニュです」
「ボランジェ」といえば、ジェームズ・ボンドとのエピソードも欠かせない。1973年の『死ぬのは奴らだ』以降、最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)まで、半世紀余にわたり映画『007』シリーズの公式シャンパーニュとして登場しており、その力強くも洗練されたスタイルは、ボンドというキャラクターの美学と共鳴してきた。
繊細さと力強さが美しく均衡する「ラ・グラン・ダネ2018」の味わいも、ボンドが体現してきたスタイルとどこか似ているようだ。力強さを誇示するのではなく、内に宿すことで際立たせる──真のエレガンスは声高に主張することないからこそ確かに、じんと心に沁みるのであろう。
ボランジェ ラ・グラン・ダネ 2018年

容量|750ml
アッサンブラージュ|ピノ・ノワール66%、シャルドネ34%
価格|36300円(希望小売価格)
問い合わせ|WINE TO STYLE 03-5413-8831



