【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

AI

2026.07.07 09:30

外部批判者が相次ぐAI大手──巨額損失で揺らぐ「価値はモデル開発側に集まる」という前提

Rokas - stock.adobe.com

Rokas - stock.adobe.com

最先端AIの採算は合わないと警告してきたのは、かつては空売り筋や挑発者だった。だが、現在ではオペレーターや監査人、さらには研究所自身が規制当局に提出した書類が、その役割を担っている。

わずか1週間のうちに、パランティア(Palantir)のCEOアレックス・カープはトークン・ビジネスモデルを「正気の沙汰ではない」とテレビの生放送で語った。リークされた監査済み財務資料は、OpenAIが2025年に210億ドル(約3.4兆円。1ドル=162円換算)近い営業損失を出したことを示した。そしてOracleはSECに対し、同社のAIデータセンター建設が顧客の支払い不履行によって瓦解しかねないと警告した。

懐疑派の増加が重みを持つのは、ベンチャーキャピタルがこれらの研究所を前例のない倍率で評価しているからだ。OpenAI自身が公表した数値によれば、同社は2026年3月、8520億ドル(約138.02兆円)の評価額で1220億ドル(約19.76兆円)を調達するラウンドを完了した。Anthropicも同水準の評価額で資金を集めている。こうした評価額を支えているのは、AIで持続的な価値を生むのはモデル層だという賭けだ。これに対しエド・ジトロンは、この業界は実態としてはささやかな市場にすぎないのに、1兆ドル(約162兆円)規模の市場のように見せかけられていると論じてきた。無視できない批判者が次々と現れていることは、モデル層に価値が集まるというその賭けへの、直接的な挑戦となっている。

まず監査済みの数字から見ていこう。エド・ジトロンが入手し、フィナンシャル・タイムズが検証したリーク文書によれば、OpenAIは2025年、130億7000万ドル(約2.12兆円)を売り上げた一方で、209億ドル(約3.39兆円)の営業損失を計上し、総コストは340億ドル(約5.51兆円)近くに達した。報告された純損失は、同社が営利企業へ転換したことに伴う一時費用を加えると、385億ドル(約6.24兆円)にまで膨らんだ。これらの数字が明らかになったのは、OpenAIがIPO(新規株式公開)に向けて秘密裏に申請を行った数日後のことだ。つまり公開市場の投資家はまもなく、1ドルを稼ぐごとにおよそ1.60ドルを使ってきた企業に、値づけをすることになる。

カープの批判も、これと同じ方向を向いている。7月1日、CNBCの「スクワーク・ボックス」に出演したパランティアのトップは、最先端モデルは「完全に過大に売り込まれてきた」と述べた。そして企業顧客は、価値を生まないトークンに金を払わされながら、自社のアルファ(企業が市場で持つ競争優位)まで第三者のプロバイダーに引き渡していると語った。国家安全保障ソフトウェアをシリコンバレーの既定モデル経由で処理するなど「正気の沙汰ではない」とも切り捨てた。もっともカープの発言は、自らの利益に沿ったものでもある。パランティアが売っているのは、まさにカープの言う「主権層(自社でデータや競争優位を握る仕組み)」そのものだからだ。とはいえ企業の側も、可能な限りAIを買い込んだ1年を経て、すでにトークン支出を抑え始めている。

知的財産をめぐる懸念も、絵空事ではない。Anthropicが4月、Figmaと競合するツール「Claude Design」を投入すると、Figmaの株価は同じ日に7%下落した。しかもそれは、Anthropicの最高製品責任者がFigmaの取締役会を辞任してわずか3日後のことだった。Figma創業者のディラン・フィールドは後に、Anthropicの情報開示は「一貫して率直だったわけではない」と述べている。その後、アクティビスト投資家(物言う投資家)のFindell CapitalはFigmaにAnthropicとの提携の見直しを迫り、製品をめぐる争いは、競合相手に深い製品知見を与えてよいのかというガバナンス(企業統治)の問題へと発展した。

次ページ > システミックリスクへの懸念

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事