誤解その4:経験豊富なスピーカーは緊張しない
あがり症を克服したい人に指導を行なっているBostonSpeaks(ボストンスピークス)のコーチング・ディレクターで、マインドセットのコーチでもあるカサンドラ・パウエルは、緊張についてこう話す。「プロのスピーカーは緊張しない、と考えるのは、緊張と否定的な感情を結びつけているからにすぎません。人前で話す時に緊張するのは、単なる生理的な活性化現象だと、プロは捉えています。そう考えれば、緊張とのかかわり方が一変し、誰もが緊張するものだと思えるようになります」
誤解その5:人前で上手に話せるようになる、唯一の正しい方法がある
人前で話すことに長けた人たちを見ていると、彼らを優れたスピーカーにしている一つの決まった型があるわけではないことに気がつく。それどころか、彼らが記憶に残る話し手であるのは、それぞれに独特の持ち味があるからだ。
自分に合っているので取り入れたいと思うスピーチ術を、1つか2つ学ぶのもいいだろう。しかし、プレゼンテーションで異彩を放つためには、自分のストーリーや強み、表現を、自分なりのやり方で届ける必要がある。自分の経験や考え方、個性をステージで発揮すれば、唯一無二の存在になれるのだ。
元体操選手のダン・サーモンはよく、側転をしながら壇上に登場する。だからといって、私はそれをまねしようとは思わないし、あなたもまねすべきではない。それよりも、自分がステージ上で発揮できる人生経験とは何かを考えてみよう。自分なりのスタイルでプレゼンを行えば、パーソナルブランドの強化につながる。
誤解その6:聞き手たちは、話し手に失敗してほしいと考えている
そんなことはない。聞き手たちは、話し手の成功を望んでいる。彼らは批評家ではなく、あなたの味方だ。話し手から何かを学びたいと思っている。その証拠に、貴重な時間を割いて、話に耳を傾けてくれているではないか。聴衆は自分の味方だと意識すると、彼らとのかかわり合い方が変わり、プレッシャーも軽くなる。
誤解その7:スライドは重要ではない
せっかくの素晴らしいプレゼンであっても、小さな文字がぎっしり書き込まれたスライドを見せたら、台無しになりかねない。逆に、視覚的に興味をそそられる楽しいスライドなら、聞き手の集中力が続きやすくなる。
スライドは、テレプロンプター(原稿を表示する機材)ではないし、話を補足するものであるべきでもない。重要ポイントを強調し、聴衆をさらに鼓舞する役割を担うものだ。プレゼンの主役はあくまでも話し手だが、スライドは重要な脇役であり、その役割にふさわしい丁寧な作り込みをしよう。
誤解その8:パブリックスピーキングの中心は、話し手である自分だ
優れたスピーカーは、自分自身を前面に押し出さず、そのエネルギーを聴衆に向ける。そして、聴衆にとって価値ある何かを届けることに全力を尽くす。エゴよりも共感をもって、プレゼンテーションに臨んでいるのだ。そして、そうした姿勢があれば、聴衆はそれを感じ取り、話にいっそう引き込まれる。
プレゼンの準備を始める際には、自分自身にこう問いかけてみよう。「オーディエンスは何を必要としているのか」「どうすれば、オーディエンスに価値を届けられるか」「自分が伝えられる洞察のうち、最も意義深く実践的なものは何か」


