中国が打ち上げた無人探査機「天問2号(Tianwen-2)」が2026年7月4日、地球近傍にある最も謎めいた天体のひとつである準衛星「469219 カモオアレワ(Kamo'oalewa:2016 HO3)」に到達した。13カ月余りの惑星間飛行を経て、ミッションの最も重要な段階がいよいよ始まる。研究チームはこの小惑星への接近観測を行い、最終的には表面物質のサンプルを採取して地球に持ち帰ることを目指している。
主な事実
2016年に発見されたカモオアレワは、直径40~100mと推定される小惑星だ。天問2号の観測結果によっては、これまで人類が探査した中で最小の天体であることが確定する。
常に地球に寄り添う軌道を描き、地球からは月と同じく地球の周りを回っているように見えるが、実際は太陽を公転している天体である。地球と1対1の軌道共鳴にあり、同期して動いている。こうした小天体を、準衛星(擬似衛星:quasi-moon)と呼ぶ。
国際NPOの惑星協会によると、これまで地球の準衛星と認定された小天体はカモオアレワを入れて7個。カモオアレワという名称は、ハワイ語で「振動する天体」を意味し、地球から見ると揺れ動くような軌道を描くことに由来している。
天問2号は2025年5月29日、中国・四川省の西昌衛星発射センターから打ち上げられた。今後は約9カ月間にわたってカモオアレワの周回軌道にとどまり、サンプルを採取して地球へ持ち帰る計画だ。
カモオアレワは、はるか昔に大規模な天体衝突によって吹き飛ばされた月の欠片ではないかと考えられている。
天問2号のミッション内容
天問2号がこれから探査するのは、これまで人類が探査した中で最も小さく、最も興味深い天体のひとつだ。まずは天体表面の地図を作成し、サンプル採取に適した場所を探す。探査機には、地表に接触した瞬間にサンプルを採取する「タッチ・アンド・ゴー方式」の装置と、ドリルを使ってサンプル採取を行う「アンカー・アンド・アタッチ方式」の装置が搭載されている。研究チームは少なくとも100gのサンプルを地球に持ち帰ることを目指している。
天問2号は2027年4月にカモオアレワを離脱し、サンプルを収めた帰還カプセルを放出する。カプセルの地球帰還は同年11月になるとみられる。一方、探査機本体はスイングバイ(天体重力推進)を利用して次の目的地である「パンスターズ彗星(311P/PANSTARRS)」へと向かい、2035年1月に到達する見込みだ。
中国の「天問」宇宙計画
「天問」とは、文字通り「天への問い」を意味する。中国の宇宙機関、国家航天局(CNSA)が進める深宇宙・惑星探査ミッションの名称だ。「天問1号」は火星探査ミッションで、火星周回機と着陸船、探査車で構成され、2021年5月15日に火星着陸に成功して探査車「祝融号」を展開した。これにより中国は、火星への宇宙船着陸と探査車の運用に成功した史上2番目の国となった。
2028年に予定されている「天問3号」は、火星からサンプルを採取して地球に届ける史上初のミッションに挑戦する。地球への帰還は2031年を見込んでいる。続く「天問4号」は2030年に打ち上げを予定し、2機の探査機を木星系と天王星に送る。1機は木星の衛星カリストの周回軌道に入って観測を行い、もう1機は天王星に接近してフライバイ観測を目指す。



