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サイエンス

2026.07.07 18:00

男性の乳首が存在する理由、生物学者が解明した受精後6週間の設計図

stock.adobe.com

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哺乳類の解剖学で、特に奇妙な特徴の1つがある。多くの人が人生の早い段階で目にし、その後ほとんど意識しなくなる「男性の乳首」だ。

成人男性において、それは機能を持たない。乳を分泌することもない。コストがかかる一方で利益をもたらさない構造は排除されやすいという自然選択の一般的な論理に照らせば、げっ歯類から鯨類、そしてヒトに至るまで、ほぼすべての雄の哺乳類に乳首が残り続けている事実は説明を要する。その答えは適応にあるのではない。胚発生の深い設計と、進化が「できること/できないこと」の限界にある。

ヒトの乳首の設計図

この問いへの答えは成人期ではなく、受精後最初の数週間に始まる。ヒトの胚は最初から男性や女性として発生を始めるわけではない。どちらでもない状態から始まるのだ。妊娠のおよそ最初の6週間は、XX染色体であれXY染色体であれ、すべての胚が同じ発生の設計図に従う。この期間は「未分化期」と呼ばれることがあり、研究では、ヒトの体の基本的な構造的特徴が形作られ始める生物学的に中立な期間として説明されている。

乳首は、この窓の中で形成される構造の1つである。やがて乳房または胸部となる組織は、「乳腺堤(mammary ridge)」と呼ばれる、脇の下付近から鼠径部(そけいぶ)に向かって走る一対の細胞の肥厚した線に沿って発達する。多くの哺乳類では、この堤の大部分が退縮し、最終的に十分に発達する乳首組織だけが残る。これは早期に起こり、胚の遺伝学的な性が体の設計図に意味のある影響を及ぼす前に完了する。言い換えれば、男性の体を女性の体から分化させるためのシグナルが届く前に、乳首はすでにそこにあり、すでに下描きされている。

性ホルモンは乳首より遅れてやってくる

およそ6週目になると、Y染色体が存在する場合、テストステロンなどのアンドロゲン(男性ホルモン)の産生が引き金となる。これらのホルモンは、精巣や外性器、さらにその後に続く解剖学的特徴を形作り、明確に男性的な体を彫刻していく。だがこの時点で、乳首の組織はすでに確立している。ホルモンの波は、構造上の決定が下された後に到来するのだ。

ここが重要な洞察である。性分化が始まる前に敷かれた特徴は、発生の過程で消し去られない。代わりに、その上に積み上げていくのである。そういう意味で男性の乳首は、共通の発生プログラムの名残であり、設計図が最終確定する前に打たれた基礎に相当する生物学的な名残だ。

生物学者はこれを「発生制約(developmental constraint)」の帰結として説明する。これは、進化が世代ごとに体をゼロから設計し直すわけではない、という考え方である。進化は手元にある設計を使って働く。雄の哺乳類から乳首を取り除くには、古くから存在し、強く保存され、他のシステムとも絡み合った発生の配列を書き換える必要がある。そのために必要な突然変異と発生の複雑さというコストは、乳首がないことによって得られるわずかな利益をはるかに上回ってしまう。

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