有害な上司(toxic boss)は、職場の士気以上のものに影響を及ぼす。世論調査会社ハリス・ポールが2026年に公表した調査によれば、米国では、有害な上司が原因で従業員の53%がメンタルヘルスのカウンセリングやセラピーを受けた経験があり、3分の2はそこから逃れるために転職している。とはいえ、部下をいら立たせるマネジャーのすべてが「有害」というレッテルに該当するわけではない。
組織心理学者のローラ・ハンブリー=ラヴェット博士は、その違いは行動が「対処可能」なのか「有害」なのかに尽きるという。「扱いにくい上司は、有害な上司と比べれば、実のところ対処できる。うまく付き合う術を学べば、その職場にとどまり、キャリアで成功し続けることさえできるだろう。しかし、相手が有害なら長続きしない」
相手がどちらなのかを把握できれば、次に何をすべきかが決まる。より明確なコミュニケーションや強固な境界線、部下の側から上司を管理・支援する「マネジング・アップ」のスキルが求められる。一方で、信頼を守り、健康を保ち、次の一手を計画することが必要な場合もある。
有害な上司は害をもたらし、扱いにくいマネジャーはストレスを生む
あなたに難題を突きつけてくるマネジャーが、必ずしも有害とは限らない。要求が厳しかったり、段取りが悪かったり、コミュニケーションが不得手だったりしても、チームの成功を望んでいることに変わりはない。それでもあなたは業務を遂行し、ビジネスパーソンとして成長し、信頼関係を維持していくことができる。
率直すぎる、たまに物忘れをする、連絡が遅い──そうした上司は課題を生むが、有害な職場環境をつくるとは限らない。部下は、働き方を調整し、期待される役割を明確にし、もう少し忍耐を持つ必要はあっても、関係性には改善の余地が残されている。ハンブリーによれば、扱いにくいマネジャーはうまく対処できることが多い一方、有害なリーダーがもたらす害は長期的には許容しがたいものだ。彼らの行動は一時的ではなく一貫して現れがちで、部下は不安になったり、自信を損なったり、常に警戒状態に置かれたりする。より重要なのは、その関係があなたにどう影響しているかだ。上司の振る舞いがあなたの心身の健康や自信、最高のパフォーマンスを発揮する能力を繰り返し損なうなら、問題は「扱いにくさ」という域を超えている可能性がある。



