研究もその影響を裏付けている。2022年に心理学の学術誌『フロンティア・イン・サイコロジー(Frontiers in Psychology)』に掲載された研究では、リーダーが他者の成果を自分のものにすると、従業員の怒りや不公平感が強まることが示された。その結果、部下の職務パフォーマンスのみならず、アイデアや懸念を声に出す意欲も低下したという。研究者らは、自分の貢献が認められないと感じると、人は知識共有や主体的な行動に踏み出しにくくなると結論づけた。認められることは単なる自尊心の問題ではない。昇進、ストレッチアサインメント(実力以上の挑戦的な役割や業務への抜擢)、リーダーシップの機会は、あなたの貢献が周囲に認識されるかどうかに大きく左右される場合が多い。誰かが繰り返しあなたの仕事を自分のものとして主張するなら、その影響は単一のプロジェクトをはるかに超えて広範囲に及ぶおそれがある。
有害な上司は職場の外でも幸福感を損なう
研究は、有害なマネジメントスタイルが部下のモチベーションの低下や精神的な消耗、そして冷笑的な態度(シニシズム)の広がりと関連することを示している。批判を予期し、職場の政治的な駆け引きに対処し、報復から身を守ることに一日を費やしていると、仕事への関与を保ち、高い水準で成果を出すことは難しくなる。
有害な上司は、心身の健康にも打撃を与え得る。有害な職場環境による慢性的なストレスは、バーンアウト(燃え尽き症候群)や睡眠トラブル、不安につながり、長期的なキャリア成長に集中することをさらに難しくする。影響は家に持ち込まれ、私生活における人間関係や日々の習慣にまで及ぶことさえある。時間の経過とともに、かつてはうまく発揮できていたスキルに対して自信を失い、自分の能力を疑い始める人もいる。仕事が、終業後も長くあなたの幸福感に悪影響を及ぼしているなら、その状況はコミュニケーションの改善や境界線の強化だけでは足りない可能性がある。
違いを理解すれば、次の行動を決めやすくなる
相手が扱いにくいマネジャーなのか、有害な上司なのかを認識できれば、より効果的に対応できる。職場の課題の中には、より明確なコミュニケーション、期待値の適切な設定、マネジング・アップの習得によって改善できるものがある。そうした状況では、アプローチを調整することが上司との関係性を強め、役割の中で成長し続ける助けになり得る。
だが、有害な環境には別の戦略が必要だ。問題行動を記録し、直属チームの外に人間関係を築き、職業上の評判を守る。改善が見られないなら、社内で別の機会を探すか、次の一手の計画を始めるべきである。有害な上司の振る舞いはコントロールできないが、自分の幸福感を守り、キャリアを前に進めるために取るべきステップはコントロールできるのだ。


