(1)効果的なコミュニケーション
グローバル企業で働く39カ国・600人以上の採用担当者を対象にしたGraduate Management Admission Council(GMAC)の『2026 Corporate Recruiters Survey(2026年の企業採用担当者調査)』では、現在最も重視されているスキルのトップとして「コミュニケーション」と「問題解決能力」が挙げられている。
グーグルやスラックで技術リーダーを務めた経歴を持つエリオットは、たとえコミュニケーションが必ずしも主要な要件と見なされていなかった分野であっても、このスキルがいかに重要であるかを最前線で目撃してきたという。
「私がグーグルでチームを率いていた当時、エンジニアの採用にあたって重視するスキルの95%は、技術的スキルやエンジニアリングの観点から深く掘り下げる能力といったものだった」とエリオットは振り返る。「コミュニケーション能力や協働する力も重要だったが、どちらかといえば、それらは二の次として考えられていた」。
今日、その状況は劇的に変化した。一部の業界ではAIが日常的なワークフローを自動化し、生産性を爆発的に向上させている。エリオットによれば、エンジニアのような高度に専門的かつ技術的な職種であっても、人間の判断力を持ち合わせ、「組織にいる全方位の人々と効果的にコミュニケーションが取れる」候補者や、「業務の境界線を交渉し、企業が達成しようとしている目標に対して自分たちがどのように足並みを揃えているかを説明できる」候補者を求めているという。
(2)ストーリーテリング
リンクトインの南北アメリカ経済調査責任者であるコリー・カンテナは、職場における効率的なコミュニケーション方法だけでなく、自分がその職に最適な人材であることを伝える力も重要だと指摘する。「つまり、リンクトインのプロフィールを更新する際や、カバーレター(志望動機書)を書く際に、どのように自分を表現し、自分のスキルや能力をアピールするかということだ」。
また、PwCのプリンシパル兼人材獲得・開発リーダーを務めるマーガレット・バークも、競争相手と差をつける方法の1つが「ストーリーテリング」のスキルだと語る。「面接の場では、たとえ意識せずともストーリーテリングのスキルが活きることになる。なぜなら面接では、自分がその職場で活躍できると考える理由を相手に具体的に示す必要があるからだ」。
履歴書や面接のプロセスにおいて、採用マネージャーは単に候補者が「何ができるか」を知りたいのではなく、志望する職種に関連して、プロジェクトを率いた経験、問題を解決した経験、あるいは課題で協働した明確な事例などを聞くことによって、その候補者が「これまでに何をしてきたか」を知りたいのだという。
仕事に就いた後でもストーリーテリングのスキルは不可欠だ。だからこそバークは、AI時代においてはそれが「最も重要な人間的スキルの1つ」だと語る。「ストーリーテリングが極めて重要なのは、AIが情報を提示してくれたとしても、それをどのように適用し、クライアントにストーリーとして伝えるのか、また、その情報がどこでインパクトをもたらすかを示し、証明するのは人間の役割だからだ」。


