キンバリー・アダムスには曾祖母の料理本がある。ブルーミントン(インディアナ州)で白人家庭の住み込み使用人として働き、ほかに職業の選択肢がなかった女性が手書きで残した遺物だ。アダムスの祖母の世代になると、選択肢は(かろうじて)教師か秘書へと広がった。やがて第二次世界大戦が到来し、祖母は工場で働くことになった。そこで、海軍の機密誘導プログラム向けにトランジスタを組み立てていたとは、本人は知らなかった。
その祖母(現在97歳)は最近、孫娘が公共メディアの有力番組Marketplaceの看板番組ホストとなり、平日朝に市場、資金、雇用、イノベーションを分析して800万人のリスナーに届ける姿を見守った。公共メディアの旗艦番組を担当する黒人女性としては初めてのことだ。
3世代を隔て、アダムスが近年いっそう意識的に向き合ってきた問いがある。何が受け継がれ、何が失われるのか。そして、いま労働市場に入ってくる最年少世代は、すでに働いている世代から実際に何を必要としているのか。
この問いの利害は切迫している。デロイトの「2025年版Z世代・ミレニアル世代調査」によれば、ミレニアル世代とZ世代は2030年までに世界の労働力の約74%を占める見通しだ。にもかかわらず、歴史的に職場で世代をつないできた非公式の仕組みは、静かに崩れつつある。アドビの調査では、Z世代の労働者の83%がメンターの存在はキャリアに重要だと答える一方、実際にメンターがいると回答したのは約半数にとどまる。さらに、2013〜2025年生まれのα世代が、AIによって再編されつつある労働市場への参入を控えるなか、意図的な知識移転のための時間的余地は急速に狭まっている。
上昇の軌跡は常に続くわけではない
アダムスの父は、食料不安を抱える11人きょうだいの1人として育ち、多国籍企業の副社長にまで上り詰めた。その軌跡、すなわち伝統的な「アメリカンドリーム」の階段を上る道筋は、当時は可能に思えた。だがアダムスは、少なくとも元の形のままでは、いまそれが存在するのか確信が持てない。
「アメリカンドリームの軌跡は、いまの若者にとってよりも、当時のほうが少しは現実的だったと思う」と、彼女は最近のインタビューで私に語った。さらに私が、職場における黒人女性の勢いはどこにあるのかと尋ねたとき──黒人女性は最も高学歴な層でありながら、賃金格差が最も大きく、投資も最も少ない状況に一貫して直面している──彼女は整った楽観論を差し出さなかった。
数字がそれを裏づける。女性政策研究所の2025年のファクトシートによれば、大学院卒の黒人女性の年収は9万3000ドルで、同等の学歴を持つ白人男性の15万7570ドルに比べて大きな差がある。この差は、学位、役職、州にかかわらず残り続ける。全米女性法律センターはさらに端的に示す。黒人女性は、白人非ヒスパニック男性が得る1ドルに対しておよそ64セントしか稼いでいない。
「もしこのことを祖母に尋ねたら、進歩は決して一貫していなかったと言うだろうと想像する」とアダムスは言った。「一直線の上昇軌道ではない。深刻な後退の瞬間は常にある。ブラウン対教育委員会判決の前に、プレッシー対ファーガソン判決があった。いま私たちは、職場の黒人女性にとって、明確に示せる後退の局面にいると思う。そしてそれは、立て直しを必要としている」
彼女は間を置いてから、こう付け加えた。「ジム・クロウ法の時代も生き延び、なんとかやってきた。長年にわたり、私たちを抑圧するために設計されたさまざまな仕組みに適応し、応答してきた。これはその1つに過ぎず、また乗り越える道を見つけるだろうと感じている。その希望は持ち続けなければならない」
場を読め──そして去るべきときを知れ
アダムスはカイロからワシントンD.C.まで、ニュースルームで働いてきた。文化も、不文律も、見えない天井も、大きく異なる環境だ。その適応力は偶然ではない。適応しない人に何が起きるのかを見てきたことによって、部分的に鍛えられた。
「キャリアのかなり早い段階で、多くの人がオンラインニュースへの移行に抵抗するのを見た」と彼女は言う。「それから、デジタルの音声・映像編集を受け入れたくないラジオやテレビのプロデューサーも大勢見た。そして彼らはみんな職を失った」。彼女が得た教訓は、形式への忠誠ではない。市場の力学と、それがどこへ向かっているかを冷静に見極めることだった。
ただしアダムスは、市場による障害と、個人に向けられた障害を明確に区別する。キャリアの重要な局面で、彼女はこう言い渡された。何年も努力を重ねたあとに、はっきりと「まだ下積みが足りない」と。ところが経験の浅い同僚は、十分に適格だと見なされていた。彼女はそれを、ありのままに理解した。
「そのニュースルームでは、私がキャリアを前に進めるためにできることは何もないと気づいた」と彼女は言う。「だから私は、とても良い仕事を辞め、フリーランスになり、別の国へ移り、自分の力でやり抜いた」
この明晰さ──それが自分で乗り越えるべき障害なのか、意図的に置かれた障害なのかを見分けること──は、労働者が身につけるべき最重要スキルの1つだとアダムスは主張する。そして差別はより巧妙になっているため、若い世代ほどそれを見抜きにくい可能性がある。
「企業も個人も、差別しているときにそれを隠すのがずっと上手くなっている」と彼女は言う。「だから、障害のどれだけが自分の問題で、どれだけが相手側の問題なのかを見極めるには、もっと賢くならなければならない。どれだけがシステムなのか。どれだけが特定の会社なのか。その問いへの答え次第で、どう切り抜けるべきか──あるいは、切り抜けるべきなのかどうか──が見えてくる」
近接性の問題
現在の労働市場における中心的な緊張の1つは、「近接性」の崩壊である。何十年もの間、非公式なメンタリングは物理的空間の産物だった。場に居合わせ、提案を聞き、誰かがインタビューでどう追い質問をするのかを見て学ぶ。そうした瞬間が積み重なり、教室や研修ポータルでは再現できないキャリア教育となっていった。
データは、多くの労働者がすでに感じていることを反映している。2026年に公表されたLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)とオックスフォード大学の画期的研究は、数億件に及ぶ採用記録を精査し、リモートワークが、パンデミック以降の若年失業率上昇全体の最大64%を説明し得ることを示した。分散チームで運営する企業は、メンタリングや対面での育成を要する若年層の採用に消極的になっている。さらに、エントリーレベルの求人は2024年1月から2025年4月の間に25%減少した(2025年のランスタッドレポート)。一方、2024年のギャラップ調査では、従業員の5人に1人が深刻な孤独を報告しており、35歳未満の労働者が最も影響を受けていることが分かった。
アダムスは、この変化のなかで静かに失われつつあるものの具体例を挙げた。彼女が駆け出しの頃、インターンは何時間もインタビューの文字起こしをしていた。退屈か。もちろんそうだ。しかし、その退屈の中で、彼らは分野屈指のジャーナリストたちの技を吸収していた。質問の構造、より良い答えを引き出す沈黙、取材相手が脱線したときの切り返し。意図せぬ徒弟制度は、AI文字起こしツールへの外部化によって、ほぼ姿を消した。
「いま、私たちのインターンは誰もインタビューの文字起こしをしない」とアダムスは言う。「それでは、どうやってインタビューのスキルを学ぶのか。特に、インタビューがZoomで行われているなら。部屋にインターンはいない」
Z世代は、まさにそれを最も必要としていた時期に、近接性のパイプラインを断ち切るパンデミックの中で社会に出た。彼らに対してアダムスは率直だ。かつては当たり前だった物理的な場を自ら作り出す責任は、いまや自分自身にある。面識のない相手にメールを送る。職能団体のイベントに足を運ぶ。会議に同席して黙って見学させてほしいと頼む。アクセスが不可能になったわけではない。ただ、上の世代に比べて、より強い意図性が求められる。
「メンターになってほしい相手が時間を割いてくれるには、何らかのつながりが必要だ」と彼女は言う。「共通点を見つけることだ。ネットワーキングの場で、知り合いがコーヒーに付き合ってくれるかもしれない。しかし、無作為なLinkedInメッセージに返信することはない」
α世代が本当に必要としているもの
私が、初めて仕事に就く前からAIの影響を受けてきた世代であるα世代に対し、現役世代が意図的に何を受け渡す必要があるのかを尋ねると、アダムスの答えは即座だった。対人スキルである。
技術的な熟達ではない。業界固有の知識でもない。以前の世代が上ってきたキャリアのはしごでさえない。彼女は率直に言う。それらは、もはや同じ形では存在しないからだ。
「通常なら受け渡してきた技術スキルについては、そのどれが無意味になるのか私たちには分からない」と彼女は言う。「しかし対人スキル、プロフェッショナリズム、フォローアップの意味、親切さと誠実さをもって返答すること、仕事を落とさないこと──そうしたことは大きな差になる。私に何かを頼みたいと連絡してきた人がどれほど多いか分からない。『いいですよ。必要なのは「x」をやってもらうことだけ』と言うと、それっきり二度と返事が来ないことがある」
このギャップは、雇用主もすでに感じている。CAKE.comが2025年に実施した管理職調査によれば、Z世代と働くうえで最大の課題は技術力ではなく、対人面での準備態勢だった。定期的なフィードバック(管理職の72%が言及)と、メンタリングやコーチング(45%)が、その溝を埋めるために管理職が最も頼りにしている主要な手段として浮かび上がった。
またアダムスは、α世代は単に現役世代の「より若い版」ではない点にも注意を払う。彼らは根本的に異なる労働市場で動いており、どの世代も真のロードマップを持っていない。年長の労働者は、その違いを謙虚さをもって受け止める必要があると彼女は考える。
「α世代は、年長世代に対して『労働市場は同じではない』と言うとき、自信を持つべきだ」と彼女は言う。「それは言い訳ではない。事実だ。彼らは、いま市場にいる誰も本当には知らない労働市場に直面している。そして彼らは、自分たちの条件でそれを解き明かしてよい」
継承は意図的でなければならない
最終的にアダムスの家族史が照らし出すのは、世代間の知識移転は決して自動ではなかったということだ。曾祖母の料理本が残ったのは、誰かがそれを保管したからだ。祖母の工場での話が残ったのは、アダムスが意図的に尋ねるだけの意思を持ったからだ。父の軌跡──食料不安から役員室へ──も、語り継がれたことで生き残った。
「年長者から聞かなければ、私たちは自分たちの物語を失う」とアダムスは、会話の序盤で私に語った。この原則は家族に限らない。産業、組織、職場──苦労して得た知識がシステムではなく人の中に宿るあらゆる場所に当てはまる。
ピュー・リサーチ・センターによれば、この10年の労働力増加のうち高齢労働者が占める割合は57%に達する見通しだ。最年少世代が労働力の人数をより多く担う一方で、世代の重なりはかつてないほど大きくなっている──同時に、かつてないほど儚くもある。意図的な継承のための窓は、いま開いている。問題は、その中にいる人々がそれに気づいているかどうかだ。
いま職場にいるすべての世代にとっての問いは、先を行く世代から何を学べるかだけではない。後に続く世代のために何を能動的に保存しているのか。そして、その窓が閉じる前に十分な意図性をもってそれを行っているのか、である。



