ロシア軍とウクライナ軍は過去1カ月、いずれも戦術滑空爆弾の使用を拡大しており、双方で火力投射のあり方が変わりつつあることがうかがえる。この変化の背景には、ドローン(無人機)の広範な使用により、伝統的に集中火力を担ってきた火砲の運用が制約されるようになったという戦場の現実がある。
両軍とも作戦ドクトリンの中核的な要素として集中火力を頼みにしているため、火砲の制約が強まると代替手段として滑空爆弾の魅力が増した。こうした傾向が続けば、滑空爆弾は双方でますます大きな役割を担い、ロシア・ウクライナ戦争の次の局面を形づくっていくと予想される。
火砲に代わる滑空爆弾
ロシア軍とウクライナ軍はいずれも火力中心ドクトリンを採用しており、そこでは歴史的に火砲をはじめとする間接照準火力が敵戦力の主要な撃破手段とされてきた。歩兵は支援的な役割を与えられることが多く、大規模な砲撃によって掃討された地域を確保し、砲兵部隊が前進できるようにする。このドクトリン自体はこの戦争を通じても根本的には変わっていないものの、火力投射を火砲に依存した状態を続けることはどちらの側も難しくなってきている。
英国際戦略研究所(IISS)の軍事データベース「ミリタリー・バランス」によると、2022年2月の全面戦争開始時点で、ロシア軍は榴弾砲を2433門、ウクライナ軍は1176門保有していた。オランダのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)サイト「Oryx(オリックス)」は、これまでにロシア軍の火砲類1716門、ウクライナ軍の火砲類1011門が撃破されたことを視覚的に確認している。両軍は外国からの供与や国内での開発・生産、旧式装備の修復によって大量の火砲を確保してきたとはいえ、これらの損失は甚大である。しかもオリックスの数字は確認されたものだけであり、実際の損失はもっと多いとみられる。
火砲の甚大な損失の要因になっているのがドローンの大量かつ広範な使用である。ドローンは敵の榴弾砲を捜索して戦場を哨戒しており、榴弾砲が発砲すれば即座に位置が特定される。ドローンは砲弾補給車両も探し出して攻撃し、榴弾砲を弾切れに陥らせている。



