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AI

2026.07.04 11:00

23万人がAIを使うJPモルガンの全社変革、成果と人員削減方針の両面から教訓を探る

Ai - stock.adobe.com

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世界的な銀行大手のJPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)は、AIエージェントについて極めて野心的な計画を描いている。会社のほぼ全体を、知的で自動化されたプロセスがつながり合うエコシステムへと作り変え、顧客体験のあらゆる場面をそこから形づくろうというのだ。

この変革の規模は途方もなく大きい。すでに23万人を超える従業員が、同社独自のAIプラットフォーム「LLMスイート」を使い、報告書を書き、コンプライアンス手続きを自動化し、不正を見つけ出し、市場を分析し、顧客に対応している。

JPモルガンは、企業のAI活用度を測る「エビデントAI成熟度指数」(Evident AI maturity index)で4年連続首位に立っている。既存システムにチャットボットを継ぎ足したからではない。AIをばらばらの試験的な取り組みとしてではなく、組織全体を変える取り組みとして進めてきたからだ。

その結果、エージェント型企業の姿が現時点で最もはっきりと見えてきた。顧客とのやり取りは自動化され、意思決定は強化され、一連の業務は最初から最後まで機械が回している。

では、AIが他の企業をどう作り変えていくのかを、この事例から何を学べるだろうか。そして、自分の居場所を今まさに探している働き手は、どこに立たされることになるのだろうか。

出発点はツールでなく、業務フロー起点でAIエージェントを組み立てる

これほどの規模で企業のAI活用を考えるとき、出発点になるのはツールではなく業務の流れ(ワークフロー)である。

金融サービスの多くの仕事は、厳格なルールに沿って、決まった作業や判断を繰り返すものだ。しかも、複数の部門やシステム、データをまたいだ連携を必要とすることが多い。AIエージェントは、まさにこうした仕事のために作られている。質問に答えるだけの生成AIチャットボットとは違い、AIエージェントは自ら動き、外部のシステムとやり取りし、「常時稼働」してリアルタイムで進む処理を管理できる。

たとえば、あるエージェントが情報を集めて確かめ、別のエージェントがコンプライアンスを確認し、さらに別のエージェントが関係者1人ひとりに合わせた報告書を作る。こうして互いに連携すれば、これまで複数の担当者が部門をまたいで受け渡していた一連の業務を、まとめて回せるようになる。

法務からコールセンターまで独自のエージェントを配備

JPモルガンは、こうしたエージェント型のサービスをいくつも作ってきた。法律文書の分析を自動化する「COiN」、資産運用担当者にその場で助言する「CoachAI」、コールセンターを支える賢い応対システム「EVEE」などだ。

同行のソフトウェアエンジニアも、専用のコーディング支援ツールを使える。このツールは、古いシステムを新しい基盤へ移すといった、エンジニアがよく直面する作業に最適化されている。

これらをすべて束ねているのがLLMスイートだ。どの部門の従業員も、これを通じてエージェント型のツールやデータ、システムを使える。狙いは、IT部門が導入を終えた場所だけでなく、AIが必要とされるあらゆる場所でAIを使えるようにすることにある。

30~40%の効率化と年約3220億円の節約を生む

これまでの成果は大きい。JPモルガンによれば、LLMスイートを使う従業員は仕事の効率を30~40%高めており、COiNは、人手なら36万時間かかったはずの法務作業を自動でこなした。

CEOのジェイミー・ダイモンによれば、こうしたAIの取り組みのおかげで、同行は2025年までに年間およそ20億ドル(約3220億円。1ドル=161円換算)を節約したという。

とはいえ、自律的に判断する機械をどこまで信頼してよいのか、そして、いま実際にその仕事をしている人々にとってこれは何を意味するのか、という疑問はなお残る。

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翻訳=酒匂寛

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