「AI、金鉱採掘」と検索すれば、「発見率30%向上」「掘削コスト40%削減」などの華々しい宣伝文句が洪水のように押し寄せてくる。あるベンダーのサイトは、業界平均0.5%に対して75%近いヒット率を謳っている。こうした売り込みはあらゆる場所で声高に叫ばれており、そのほぼすべてがひとつのことに集中している。それは、金を見つけることだ。どこを掘削すべきか。どの土地に鉱石が眠っているのか。
では、実際の鉱業文書を読んでみよう。カナダ証券管理局の電子開示システム「SEDAR+(セダープラス)」や米証券取引委員会(SEC)の電子開示システム「EDGAR(エドガー)」といった適時開示システムで、大規模な金プロジェクトの最新テクニカルレポートを検索してみると、その実態がよくわかる。それは、企業が鉱床の価値を裏付けとして資金調達を行う際に、開示義務を負う法的文書だ。
次に、実際に地中にどれだけの金があるかを記した部分を開く。その数字、すなわち資源量推計(MRE:Mineral Resource Estimate)こそが企業価値を決定し、資金調達の裏付けとなり、株価を動かすものだ。
そして、その計算に使われている手法は何かを見てほしい。クリギング(統計学的な空間補間手法)と記されていないだろうか。クリギングは1960年代から地質学者が信頼を寄せてきた、ボーリング孔の間の品位を統計的に推測する手法だ。そこにニューラルネットワーク(人間の脳の神経回路を模したAIモデル)の出番はない。MREには、「クオリファイド・パーソン(QP適格資格者)」と呼ばれる専門家が推計値の正確性に対して自身の資格と法的責任を賭けて、署名している。
本稿が扱うのは、このギャップについてだ。鉱業には信頼の問題がある。金を見つけることについてはAIを信頼する一方で、金の数(資源量)を測ることについてはAIを信頼していないのだ。
実際に重要なのは「数」だ
鉱業におけるAI活用の報道のほとんどは「探鉱」に関するもので、それにはもっともな理由がある。衛星画像や過去の試錐データをAIモデルに読み込ませ、どこを掘るべきか提案させる試みは刺激的で、誇大広告を出すコストも低く、外部の人間が検証することはほぼ不可能だからだ。企業が「我が社のアルゴリズムが有望な鉱床を突き止めた」と主張したとして、誰が反論できるだろうか。まだ何も建設されておらず、誰もその結果に署名をしていないのだから。
MREは、それとはまったく別の生き物である。プロジェクトが何オンスの金をどの品位で保有しているかを投資家に伝える数字だ。銀行はそれを担保に融資し、株価はこの結果にかかっているのだ。鉱山会社が「500万オンスある」と言うとき、その数字は正式な推定から導かれたものであり、書類のどこかには認証したQPの名前がある。その数字が空想だと判明すれば、その人物は証券規制当局の前に引き出される可能性がある。要するに、リスクがあるのだ。本物のリスク、職業上そして法的なリスクだ。



