オラクル(ティッカーシンボル:ORCL)は、現在の10倍近い規模の事業をすでに契約として確保している。だが、本当に難しいのはここからだ。その契約を実行に移さなければならない。
同社の株価はこの1年間低迷しており、現在は52週高値を約55%下回る水準にある。過去には大きく上昇した局面もあったが、ここ最近は苦しい展開が続いてきた。では、ここから株価が大きく上がるとすれば、何がその根拠になるのだろうか。
答えは、AI(人工知能)への漠然とした期待ではない。同社が公表した、6380億ドル(約102兆円。1ドル=160円換算)というけた外れの数字である。これはオラクルの残存履行義務(RPO、契約は済んでいるがまだ提供していないサービスの総額)の規模を示すもので、いわば同社の受注残に当たる。この数字を知れば、オラクルという企業の見え方は一変する。
約102兆円の受注残、ほぼ10年分の売上が契約で確保されている
年間売上高が約673億6000万ドル(約10.78兆円)の企業にとって、6380億ドル(約102兆円)の受注残は、ほぼ10年分の売上がすでに契約で確保されていることを意味する。この受注残が実際に売上へと変わるかどうかは、オラクル自身の実行力と顧客側の契約履行にかかっているとはいえ、その中身は期待込みの販売予測ではなく、法的拘束力を持つ顧客との契約である。受注残は前四半期に363%も急増した。この四半期だけで670億ドル(約10.72兆円)という驚異的な規模の新規AIインフラ契約を獲得したためだ。わずか1四半期の受注額が、同社の過去1年間の総売上高にほぼ並ぶ計算になる。
この受注残のおかげで、オラクルは今後の成長をきわめて高い確度で見通せる。これは、ほとんどの企業が決して手にできない強みだ。経営陣はこの見通しに強い自信を持っており、総売上高で34%の増収を見込んでいる。参考までに、過去12カ月間のオラクルの増収率は17.4%だった。つまり同社は、すでに獲得した契約を裏付けとして、成長が大きく加速すると宣言しているのだ。オラクルが記録的なAI関連の成長を保てるのかどうかは、投資家にとって最大の関心事となってきた。



