Forbes JAPAN編集長編著『Forbes JAPANが選ぶ 未来をひらく言葉』から、Forbesが過去取材したビジネスリーダーたちの名言を紹介する。
正解のない時代に「未来をひらく」仕事をなし得た彼ら・彼女たちは、自らの行動からどんな言葉を紡ぎ、何を導き出したのか。「名言こそ未来に伝えるべき共有物だ」をコンセプトに、リーダーたちの言葉をひもとき、われわれの「今日の行動」に転換すべく読み解くコラム。第6回の今回は、Google CEO、Alphabet CEO スンダー・ピチャイの言葉を紹介する。
「面白いね!」でアイデアを回す文化
「私が最初にテクノロジーのインパクトを受けたのは12歳の時」と、2019年、グーグルCEOのスンダー・ピチャイは、私に語り始めた。
ピチャイはインド南部の都市チェンナイで生まれた。二部屋の集合住宅で育ち、12歳の時に5年も設置を待ち続けた電話が家に来た。それまで電話がなければ母親は病院の予約すらできず、バスに1時間以上も揺られて病院に行き、そこでさらに1時間以上並ばなければならなかった。しかし、電話の登場で時間が節約できて、家族で過ごす時間が増えた。さらに、「近所の子どもたちが集まるようになり、大人たちも家にやってくるようになりました」と笑う。技術はコミュニティをつくったのである。
グーグルの社長に就任すると、2016年に、彼は「AIファースト企業」を宣言した。「イノベーションとは、日々の経験から生まれるものです。だから、いつでもどこからでもイノベーションは可能なのです」。12歳の時の電話の体験で見た近所の人たちの笑顔がゴールであり、そこに到達するための武器が、楽観主義と「面白いね!」と言ってアイデアを回すグーグルの文化だろう。原点であるインドの話を再び振ると、彼はこう言うのだった。
「将来、私を育ててくれたインドに帰りたいと思っています。両親から「人生で受けた恩恵は社会に返すべき」と言われて育てられましたからね」
Sundar Pichai◎Google CEO、Alphabet CEO。1972年、インド・チェンナイ生まれ。シリコンバレーの半導体メーカーに勤務後、ウォートン・ビジネススクールでMBAを取得、マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントに。2004年、グーグルに入社して検索ツールバーの仕事からスタートした。15年にグーグルの最高経営責任者に就任した。読書家で、感銘を受けた本に終末期医療を描いた『死すべき定め』(アトゥール・ガワンデ著)を挙げていた。



