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食&酒

2026.07.03 14:15

ソウルの「ヤンコチ(羊肉串)通り」を歩いてわかった韓国のガチ中華の特徴

ソウルのヤンコチ通りと交差して延びる「Tukseom-ro27-gil」は、チャイナタウンの大林に似た、中国の吉林省延辺朝鮮族自治州の街角のような景観だ

ソウルには汁なしマーラータンの店が多い

ヤンコチ通りを後にして、次に、延世大学や梨花女子大も近くにある学生街の新村を訪ねた。ここには若者が多く集まる飲食街がある。現地で10年間にわたり留学や仕事もしていた東京ディープチャイナのライターの堀田ナホさんに案内してもらった。

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新村の飲食街は、韓国の店の合間にまだらにガチ中華の店があるという意味では、池袋や上野に近い印象だ。もともと学生たちの集まる盛り場だったことから、高田馬場に近いともいえる。大林のように街ごとチャイナタウン化しているわけではないし、ヤンコチ通りのようなガチ中華ストリートでもない。

堀田さんによると、数年前に比べてそれまで多かったヤンコチ専門の店が減った代わりに、それ以外のガチ中華のバリエーションが増えているという。中国人留学生も多いせいか、若者向けのガチ中華の店も多かった。

たとえば、東京にもよくある肉夾饃(ロージャーモー)のような中国西北地方の粉モノのファストフードや刀削麺をはじめとした小麦麺の店、中国式チキンハンバーガーの店などもある。マーラータンの店も多く、大半の店のメニューにこれが入っていることもわかった。

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梨花女子大にある「New Burger」という店では、中国の若者が好む中国式チキンバーガーや上海発祥のぶつ切りにした鶏肉を特製タレで煮込んだ鶏公煲(ジーゴンバオ)が供されている
梨花女子大にある「New Burger」という店では、中国の若者が好む中国式チキンバーガーや上海発祥のぶつ切りにした鶏肉を特製タレで煮込んだ鶏公煲(ジーゴンバオ)が供されている

この事情は東京でも同じで、マーラータンの流行に乗じて、多くのガチ中華の店でメニューに採り入れられるようになった。看板にハングルが使われていることを除くと、新村の飲食街は東京のガチ中華タウンに似た風情といえるかもしれない。

東京ではあまり見かけない店としては、今年4月、世田谷区の下北沢にオープンした韓国系麻辣揚げ串チェーン「小麻辣(シャオマーラー)」のようなテイクアウト店も多く、それらの店ではマーラータンも提供されている。

ソウルではマーラータンより麻辣香鍋の専門店が多いところは東京と少し異なるかもれない
ソウルではマーラータンより麻辣香鍋の専門店が多いところは東京と少し異なるかもれない

ソウルではマーラータン専門店よりも、汁なしマーラータンとも言える麻辣香鍋(マーラーシャングオ)の店が多い気がする。ここ数年の東京のマーラータンの流行に比べると、味つけの多様性やローカライズの方向性で異なるところが面白い。中国発祥のグルメがそれぞれの国民の嗜好でローカライズされていくのだろう。

堀田さんによると、かつて若者の歓楽街としてにぎわっていた新村やその隣にある梨花女子大周辺の衰退が近年は著しいという。

「コロナ禍と不動産バブルがこの街を変えてしまいました。かつては化粧品やアパレル、靴店、おしゃれなカフェやレストランが多かったのに、家賃の高騰で経営を断念するケースが増えています」

確かに、この界隈のテナントがそこかしこで空いている光景は意外なほどだった。その合間に、中国人留学生向けと思われるガチ中華の飲食店やファストフード、スイーツの店などがちょこちょこ点在している。

今回訪ねたソウルの2つの飲食街を見ていると、東京に似たところと違うところがあったが、ガチ中華の出現はグローバルに共通していること、日韓両国に移住してくる中国籍の人たちの影響がもたらした社会現象であるという点は確認できたのである。

文・写真=中村正人

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