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2026.07.09 13:30

戦略思考の身体化:田坂広志の深き思索静かな気づき

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なぜなら、そのためには、(1)参加者の考えや思いを事前に推察する力、(2)会議における心の流れを予測する力、(3)情報を印象的かつ説得的に伝える力、(4)相手の言葉を聞き届ける力、(5)こちらの思いを相手の心に伝える力、といった「プロフェッショナルの高度な能力」が求められるからである。

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しかし、この「すべての会議を戦略的に組み立てる」という修業を続けていくと、自ずと、これらの高度な能力が身につき、磨かれていく。そして、たとえ「5分の会議」であっても「5時間の会議」であっても、自然に戦略的に組み立てて臨めるようになり、その戦略思考が「身体化」されていく。

それゆえ、筆者は、部下として預かる人材には、「たとえ5分の会議でも、戦略を持って臨む」という指導をしているが、併せて、「たとえ1枚の資料でも、戦略を持って作る」との指導も行っている。

すなわち、資料作成においても、たとえ1枚の資料でも、読む相手の考えや思いを推察し、読み終えたとき、こちらの希望する考えや思いに変わってもらうための「資料の戦略」を持つべきである。

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そして、その戦略に沿って、情報と言葉を選び、配置するならば、(1)資料の冒頭から最後の言葉まで順に読んでいくだけで、何が問題提起されているかが簡潔に分かり、(2)その問題の解決策が説得力を持って頭に入り、(3)読み終わった後、いかなる行動に向かうべきかが具体的に分かる、プロフェッショナルの資料が出来上がる。

だが、現在の企業社会では、プレゼンソフトを使って、図表入り、イラスト入りの派手な資料を作る人材は多いが、明確な「戦略思考」がページの隅々に感じられる資料を作る人材は少ない。

「たとえ5分の会議でも、戦略を持って臨む」

「たとえ1枚の資料でも、戦略を持って作る」

それは、素朴な修業のようでありながら、実は、「戦略思考を身体化したプロフェッショナル」になるための、極めて高度な修業に他ならない。

そして、安直に流されず、愚直に徹し、こうした修業を積み重ねた人材だけが、真に企業組織を動かす人材になり、社会を変える人材になっていく。


田坂広志◎東京大学卒業。工学博士。米国バテル記念研究所研究員、日本総合研究所取締役を経て、現在、21世紀アカデメイア学長。多摩大学大学院名誉教授。世界経済フォーラム(ダボス会議)専門家会議元メンバー。元内閣官房参与。全国から1万名を超える経営者が集う田坂塾・塾長。著書「人類の未来を語る」「教養を磨く」など、国内・海外で150冊余。tasaka@hiroshitasaka.jp

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田坂広志の「深き思索、静かな気づき」

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