DRAM価格高騰、パソコン・スマホ大手が中国に調達先を広げる
メモリー業界は今、かつてない好況に沸いている。
AIサーバーが高帯域幅メモリー(HBM)への空前の需要を生み出している。供給が追いつかず、DRAM(パソコンやサーバーなどに使われる主要な半導体メモリー)の価格は急騰したままだ。そのため、パソコンやスマートフォンのメーカーは従来の取引先以外にも調達先を探さざるを得なくなっており、その視線は次第に中国へと向かいつつある。
アップルは、米国の輸出規制リスト(ブラックリスト)に載っているChangXin Memory Technologies(チャンシン・メモリー・テクノロジーズ、CXMT/長鑫存儲技術)からDRAMチップを調達しようと、当局の承認を求めたと報じられている。デル・テクノロジーズ、HP、エイサー、ASUSも同様の動きを検討中と伝えられる。
最近、84%を超える売上総利益率を記録したMicron Technology(マイクロンテクノロジー、MU)のような企業にとって、真の問題はこうだ。今日の並外れた収益性は、中国が市場に参入してきても維持できるのか。
そして歴史が何らかの手がかりになるとすれば、投資家はそろそろ警戒を強めるべきだ。
中国はこの「常套手段」を過去にも繰り返してきた。太陽光パネル、電池、EV(電気自動車)、造船──いずれの産業も同じ道をたどった。国家が資金を注ぎ込み、リバースエンジニアリング(既存製品を分解・解析して技術を模倣すること)で技術を取り込み、製造規模を容赦なく拡大する。その結果、既存のグローバル企業はコストで太刀打ちできなくなった。これまで、メモリーチップだけはこの波を免れているように見えた。約30年にわたり、DRAM市場はサムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社が支配し、技術力と製造ノウハウの厚みが挑戦者を寄せ付けなかったからだ。
しかし、現在の供給不足は、中国が待ち望んでいた突破口を開きつつあるのかもしれない。この不足を機に、中国のメモリーメーカーが世界のOEM(完成品メーカー)との取引に初めて本格的に食い込むとすれば、DRAM業界にとって過去30年で最大の競争構造の変化となる可能性がある。



