【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

サービス

2026.07.02 11:00

米政府がアンソロピックに譲歩、事実上の承認──米中AI競争の流れを変えた18日間

stock.adobe.com

stock.adobe.com

米国時間6月12日、米商務省はAnthropic(アンソロピック)に対し、同社の最先端AIモデル2種へのアクセスを遮断するよう命じた。6月17日、中国の研究機関が対抗するモデルを無料で公開した。これが、両国間で繰り広げられた緊迫のAI対立の構図である。

そして6月30日、ワシントンはひるみ、規制を撤回した。Anthropicは7月1日からアクセスの復旧を開始する旨を明らかにした。

オープンウェイトとクローズドの覇権争いが、AI普及の主導権を決める

オープンウェイトモデルとクローズドモデルは、AI覇権をめぐるグローバル競争において、対立する戦略的な物語となっている。緊張が高まるのは、賭けられているものがあまりに大きいからだ。勝者がAI普及の主導権を握ることになる。

AnthropicとOpenAIは最も強力なモデルを独自のものとして保持し、APIの背後でアクセスを制限している。クローズドなアクセスのほうが監視しやすく、西側の規範に沿うよう整合性を保ちやすいというのが彼らの主張である。これは商業上および安全上の選択だ。輸出禁止は別物である。国家安全保障を根拠に、政府が「誰がその技術に触れられるか」を統制しようとしたのだ。中国は逆を押し進めている。どの開発者でもダウンロードしてローカルで動かせる「オープンウェイト(open weights)」である。

認知的不協和を覚えるなら、それはあなただけではない。自由市場の旗手が、民間企業の製品を誰が利用できるかについて国家の統制に手を伸ばす一方で、中央集権的統制に最も執着する政府が、最強の技術を世界に差し出している。

米国のクローズドモデルは中国のオープンモデルに対して性能面で優位を保ってきたが、その差は急速に縮まっている。さらに、中国のオープンモデルは運用コストが低く、カスタマイズも容易だ。世界中がテニスの試合を観戦するように、政府や企業がどちらに依存するか決断を下すたびに、首を左右に振りながら見守っている。

ワシントンは、門番役の統制でリスクを抑え込めると賭けている。たとえ世界的な普及が遅くなっても、という前提だ。中国は、オープンウェイトによって自国モデルを世界の事実上の標準にし、米国のクローズドモデルから市場シェアを奪い、先端AIを囲い込もうとするワシントンの動きを、利用者を中国の代替案へ押しやることなく進めるのを難しくできると賭けている。

世界最強AIの悪用リスクと国際的枠組みの必要性

この綱引きが緊迫するもう1つの理由は、中国のアプローチが世界最強のAIを悪意ある者の手に渡すことになるからだ。彼らはそのモデルを使って大混乱を引き起こす可能性があり、筆者は実際にそうなる公算が高いと見ている。

一定のルールを定める国際的な枠組みが必要だ。

次ページ > 6月12日の遮断命令でFable 5とMythos 5が全世界で止まる

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事