スペースXのIPO申請書類に見る小惑星採掘
スペースXのIPO申請書類には、「当社は、地球近傍小惑星やメインベルト小惑星から金属やその他の重要な資源を抽出する小惑星採掘事業を推進していく。これにより、宇宙を拠点とする産業向けに豊富な原材料を提供し、地球から物資を打ち上げる必要性も減らす」と記載されている。これは、財務書類の文言としては異例ともいえる大胆な主張だ。同社はさらに踏み込み、将来的に宇宙を拠点とする産業を支えることになる資源として、「白金族金属、レアアース(希土類元素)、ニッケル、コバルト、鉄、そして水」を挙げている。
また、再利用型ロケットの打ち上げ、自律型ロボティクス、そして現地での資源処理技術により、小惑星資源へのアクセスは時間を経るにつれ容易になると同社は主張する。この表現は衝撃的だが、その考え方は非常にシンプルだ。すべての金属、水、燃料を地球から一滴残らず打ち上げる代わりに、将来の宇宙産業はすでに宇宙空間に存在する物資を利用すればよいのである。
機運は高まるものの、依然として長期的かつハイリスク
しかし、再び機運が高まっているとはいえ、小惑星採掘は依然として長期的かつハイリスクなビジネスであることには変わりがない。国連が制定した小惑星衝突の危険性に関する世界的な啓発キャンペーン「国際小惑星デー」を前にしたインタビューにおいて、アリゾナ州フラッグスタッフにあるローウェル天文台のニック・モスコヴィッツ博士は次のように語った。「これは困難なビジネスモデルだ。数十億ドル(数千億円)の費用がかかり、利益が得られるのは50年後になるかもしれない」
なぜスペースXが小惑星採掘の方程式を変えるのか
スペースXの役割は、自ら最初の小惑星を採掘することではなく、打ち上げコストを引き下げることにあるのかもしれない。同社の再利用型ロケット「ファルコン9」や、軌道上に100トン以上の物資を運べるとされる大型宇宙船「スターシップ」により、宇宙へのアクセスはかつてないほど容易になっている。これが重要なのは、小惑星採掘には、探査、ランデブー、自律航行、サンプル分析、抽出、処理といったテストを繰り返す必要があり、それぞれの段階において宇宙空間上にハードウェアを配備する必要があるからだ。
2010年代初頭の活発な動き(特にプラネタリー・リソーシズやディープ・スペース・インダストリーズによるもの)を経て、地球外の資源をビジネスに転換することに関心を持つ企業の「第2波」が到来している。モスコヴィッツは、「過去には、スタートアップ企業が大口投資家を惹きつけることで大きな進歩を遂げたものの、それらの企業はシード資金を使い果たして消え去ってしまった」と指摘する。


