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2026.07.15 10:45

「旅行者の時間配分」から考える観光 地域の価値へ還元するには

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大手旅行会社JTBが発表した今年の夏休みの旅行動向によれば、国際情勢や円安が影響し、海外旅行に行く人は前年比8.8%減、国内旅行についても、同4.4%減の見通しだ。

他方、インバウンドは2025年に過去最高水準となり、政府は2030年には6000万人を目標に掲げている。訪日観光に関するデータや2026年3月に閣議決定された「第5次観光立国推進基本計画」から、何が読みとれるのか。PwCコンサルティング合同会社Strategy&の西畠 綾が解説する。


この10年で訪日観光市場は大きく伸びた。訪日外国人旅行者数は2010年の約861万人から2025年には約4268万人へ、訪日外国人旅行消費額は約1.1兆円から約9.5兆円へ増加した。2026~2030年度を計画期間とする第5次観光立国推進基本計画は、こうした実績を踏まえ、観光を「地域経済・日本経済の発展をリードする戦略産業」と位置づけている。

1. 旅行者の時間には限りがある

その成長を日本各地でどう受け止めるかを考えるうえでは、旅行者一人ひとりが日本でどれだけの時間を過ごすかに眼を向ける必要がある。ところが、この時間はそれほど自由に延ばせるものではない。観光庁の調査によれば、観光・レジャー目的の平均泊数は2019年以降6~7泊で横ばいに推移しており、2025年も同水準である。

国別にみると、韓国は3.4泊、台湾は5.6泊である一方、ドイツは15.2泊、フランスは16.5泊となるなど市場による差が大きい。滞在日数は、目的地の魅力だけでなく、出発国・地域、休暇制度、航空アクセス、旅行目的など、複数の条件に左右されるためである。

この前提に立つと、訪日客数が増えれば、そのまま日本各地に観光需要が広がるとは考えにくい。旅行者が日本で使える時間には限りがあり、その限られた時間をどこに使うかが重要になる。都市部や定番観光地と比べたときに、地方に時間を割く理由が見出せなければ、その地域は旅程に入りにくいだろう。

2. 旅行者の行動の変化を目指す

旅行者の時間には限りがあるという前提に立つと、第5次観光立国推進基本計画のKPIが意味するものも違って見えてくる。

計画では、訪日客数と消費額に加え、地方部延べ宿泊者数1.3億人泊、消費単価25万円のほか、リピーター数4000万人、宿泊業付加価値額6.8兆円が設定されている。これらは、訪日客数が自然に増えれば届くという性格の目標だけではない。旅行者の行動そのものが変わらなければ、達成は難しい。

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文=西畠 綾 編集=鈴木奈央

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