ゼロかそこらの金利は企業経営者も甘やかしてきた。チープマネーで楽に現状維持を続けていけるのなら、どうして痛みを伴う事業再編を断行したり、イノベーションに精力を注いだりする必要があるのか。
コーポレートガバナンス改革は日経平均の最高値更新に寄与したが、収益性の改善だけでは、日本企業が中国企業に市場シェアを奪われる流れを止めることはできない。また、1980年代にニッポン株式会社が世界のライバル勢に挑んだように、中国電気自動車(EV)の比亜迪(BYD)やAI(人工知能)のDeepSeek(ディープシーク)に立ち向かう原動力にもならない。日本は中国のEV攻勢やAIの飛躍にも、あるいは世界的な半導体競争にも、成功する見込みのある対抗策をいまだに持ち合わせていない。
日本を世界のテクノロジーと金融の頂点へ押し上げた1980年代半ばの勢いが多少なりとも戻るのなら、それはある意味、歓迎すべきことだろう。しかし、現在の円安は違うメッセージを発している。投資家は、日本政府には解決しなくてはいけないはるかに大きな問題がいくつもあると考えているのだ。


