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アジア

2026.07.02 10:30

ついに1986年の水準まで下落した「円」、状況は当時よりも危うい

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こうした状況は、日銀と高市早苗首相率いる政府をともにジレンマに追い込んでいる。対処すべきは「スタグ(景気停滞)」か、それとも「フレーション(物価高)」か。高市政権は前者を重視し、景気を浮揚させたがっている。一方、日銀の植田和男総裁は後者に傾注し、物価上昇率を2%の目標まで引き下げようとしている。

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日本政府にとって最も大きな懸念事項のひとつは、実質賃金が2025年度も前年度から減り、4年連続でマイナスとなっていることだ。月ごとの統計には多少の振れがあるものの、傾向ははっきりしている。日本の現下の賃金環境では、GDP成長率を2%超へ押し上げるだけの個人消費を生み出せそうにない。

円相場が1986年の水準まで下落したことは、こうした不安をさらに強めている。市場では、財務省・日銀が円安を食い止めるため再び為替介入に動くのではないかという噂が飛び交っている。だが、為替介入は対症療法にすぎない。日本は人口が減少するなかで、依然としてGDP比で200%超という世界最大級の公的債務を抱えている。

円安の進行は心理的にも家計に消費よりも貯蓄を選ばせる理由になる。他方、最近7万2000円を突破し、その後7万円を割り込んだ日経平均株価についても、ファンダメンタルズ(基礎的条件)から乖離して高騰しているのではないかという疑問が生じている。円建て資産への強気な見方はなお根強いものの、経済動向の基調を踏まえると、その楽観論は行き過ぎている可能性もある。

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もっとも、日本株は足元でもまだ米国株ほど割高ではない。また、自由民主党政権がこの10年ほど取り組んできたコーポレートガバナンス(企業統治)改革と自己資本利益率(ROE)向上は、ようやく実を結びつつある。

とはいえ、株価の上昇を持続させるために必要な改革はまだ道半ばだ。日本の資本市場改革は一段と強化していく必要がある。2026年上半期の新規株式公開(IPO)件数は過去15年で最少となり、上昇相場が途切れずに続くと信じる投資家に警告のサインを発した。

同じことは日本経済全体についても言える。日本経済に詳しい専門家の間でも、27年にわたりゼロ近辺ないし1%に抑えられてきた政策金利は、メリットよりもデメリットのほうが大きかったと認める声が増えている。超低金利で調達できる「フリーマネー」は、日本のアニマルスピリットを蘇らせるどころか鈍らせてしまった。規制緩和、能力主義に基づく労働市場の構築、スタートアップの育成、生産性の向上、男女間の賃金格差縮小、シンガポールや香港に集まる多国籍企業に東京への拠点移転を再び検討してもらうこと──こうした改革を急ぐ切迫感も失わせた。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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