【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

アジア

2026.07.02 10:30

ついに1986年の水準まで下落した「円」、状況は当時よりも危うい

stock.adobe.com

stock.adobe.com

日本はこの40年間、1986年を忘れようとしてきた。だが、円相場はアジア2位の経済大国をその年へと引きずり戻した。日本でそれを喜んでいる人はほとんどいない。

6月29日、円相場は1ドル=161.95円を下回り、1986年12月以来39年半ぶりの円安水準に下落した。1986年と言えば、バブル期の日本を題材にした映画『ガン・ホー』や、トム・クルーズの出世作となったオリジナルの『トップガン』が劇場公開された年だ。当時、日本は前年の「プラザ合意」による余波に揺れていた。ニューヨークのプラザホテルで結ばれたこの合意を機に円は急騰し、その影響で日本経済は1986年第1四半期にマイナス成長に沈んだ。

ただし、当時と現在は方向が逆だ。1986年はドルが急落し、円が急騰していた局面だが、いまはドルが急騰し、円が急落している。そして多くの点で、2026年の円安は1986年の円高よりも危険である。理由はインフレだ。日本は現在、生活水準を大きく圧迫するかたちで急速にインフレを輸入している。

プラザ合意はたしかに「ニッポン株式会社」を大きく揺さぶった。円相場は1ドル=242円から153円前後まで跳ね上がり、輸出依存型の経済に深刻な打撃を与えた。それはのちに「失われた10年」と呼ばれることになる長期停滞の下地をつくった。日本銀行は経済成長が腰折れしないように積極的に金融緩和を実施したが、その結果、資産バブルが膨らみ、のちにはじけた。

だが、日本が現在立たされている苦境はもっと深刻だ。日本経済はスタグフレーション(景気停滞下のインフレ)に陥っている。日銀によれば、2026年の実質国内総生産(GDP)成長率が0.5%にとどまる見通しである一方、政策要因を除いた4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.8%上昇している。つまり、成長率は物価上昇率の5分の1足らずだ。イランをめぐる紛争がくすぶり続けるなか、日本はその影響を非常に受けやすい立場にある。米国とイスラエルがイランを攻撃する前、日本は原油の95%を中東から輸入していた。しかも、いまは価値がますます下落している通貨でそれを賄わないといけない。

次ページ > 政策対応は「スタグ」と「フレーション」の板挟みに

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事