米国時間6月30日、互いに熾烈に競い合う140社超の企業が、同一のステーブルコインを支持することで合意した。その受け皿となるのが、新設の独立企業Open Standardだ。同社は新しいステーブルコインOpen USD(OUSD)を立ち上げ、これを特定企業の製品としてではなく、決済・取引・インターネット経済のための中立的なインフラとして位置づける。
VISAやMastercard、グーグルなど149社がOUSD支援に名を連ねる
支援企業の顔ぶれは錚々たるものだ。6月30日現在では、その数は149社に上る。VISA、Mastercard、アメリカン・エキスプレス(AMEX)が同じコンソーシアムに名を連ね、Stripe、ブラックロック、コインベース、グーグル、BNYメロンに加え、OUSDのローンチ時点での統合にコミットする多数の銀行・フィンテックが並ぶ。
・決済・フィンテック系企業:36社
・銀行・金融系企業:58社
・テックプラットフォーム系企業:11社
・暗号資産・インフラ系企業:44社
PayPayや楽天グループなど日本企業も参加
日本の企業では、PayPay、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)、楽天グループが含まれている。
OUSDは、手数料ゼロと収入還元で発行体への集中を回避
そしてその設計思想が本質を物語っている。OUSDは、いかなる規模でも発行(ミント)や償還(リディーム)に手数料を課さず、準備資産から得られる収入のほぼ全額を発行体ではなく流通を担う企業に還元する。そして運営は、最初に動いた者ではなく、参加企業による集団的なガバナンスに委ねられる。
OUSDは2026年内に、Solana、Stellar、Base、Polygonをはじめとする複数のチェーン上で稼働を始める。暫定CEOにはBridge共同創業者のザック・エイブラムスが就く。これは、ステーブルコインの経済構造が当初から指し示してきた「オープンな標準」が、ついに形になったといえる。
乱立か標準への合意か、ステーブルコインが迫られる二択
ステーブルコインは、本来収益源として設計されたものではない。理由は単純だ。企業がもたらす経済的価値は、残高や決済量、つまりすでに自社が持ち込んでいる流通から生じる。発行という行為そのものは、それを超える収益を何ら上乗せしない。
ここから導かれる世界は2つだ。無数のステーブルコインが乱立し、どれも存在感を得られずにもがく世界。あるいは、企業がそれが不毛だと気づき、共通の標準に合意する世界である。これが、かつてのLibra(リブラ)の中核思想であり、今Open Standardとして息を吹き返している。



