銅価格が急騰する可能性が高まっている。太平洋で強力なエルニーニョ現象が発生しつつあり、世界最大級の銅生産国であるチリとペルーで洪水を引き起こす恐れがあるためだ。
エルニーニョは太平洋の海水温が平年より高くなることで発生し、通常の気象パターンを乱す現象である。他のコモディティもその影響を受けるリスクがある。
食料供給にリスク
2026年のエルニーニョに対する関心の多くは、アジアの農作物収量がどの程度減少するかに集まっている。西太平洋一帯に干ばつをもたらし、収穫を減らしかねない。すでにパプアニューギニアの高地地域では作物の不作が報告されており、地域的な食料危機の前兆として警戒されている。
しかし、それだけではない。投資家にとって懸念すべき取引機会となり得るのは、エルニーニョが金属に与える影響である。降雨量が多すぎても少なすぎても、生産量の減少につながる可能性があるからだ。
銅の場合、ペルーやチリでの洪水による供給減少は、すでに逼迫している需給状況に拍車をかけることになる。銅価格は今年に入り史上最高値の1ポンド6.50ドルまで上昇した後、直近では6.10ドル前後に落ち着いている。
データセンター建設ブームとあらゆるものの電化による旺盛な需要が、銅価格を下支えしている。これに対して、鉱山での事故やトラブル(操業停止)が供給の伸びを抑えている。
エルニーニョ現象は銅価格を一気に押し上げる可能性があり、一部の予測が示すほど強力なものになれば、その影響はさらに大きくなる。
デンマークのサクソバンクは今月初めのリサーチノートで、予測によれば2026年後半に中程度から強いエルニーニョが発生する可能性があると述べた。
「1997〜98年や2015〜16年を含む直近の主要なエルニーニョは、世界中の農業生産、エネルギー市場、鉱山操業に重大な影響を与えた」とサクソバンクは指摘している。
米海洋大気庁、強いエルニーニョを確認
米国の気象機関である海洋大気庁(NOAA)は先週、エルニーニョの発生を確認した。11月から1月にかけて非常に強い現象が起こる確率を63%に引き上げ、観測史上最も強い規模になる可能性も示した。
モルガン・スタンレーは顧客向けに、同社のコモディティチームの見解として、南米やアフリカの銅鉱地帯で起こるエルニーニョ関連の事象により、銅が供給途絶のリスクが最も高い金属だと伝えた。
「チリは洪水、土砂崩れ、インフラへのリスクに直面する可能性がある一方、ザンビア(南部アフリカ)は干ばつと水力発電の電力不足に見舞われる恐れがある」と同行は述べている。
エルニーニョが他の金属生産に及ぼすリスク
エルニーニョが金属生産に及ぼすリスクは他にもある。中国南部の雲南省では水力発電ダムの水位低下により、アルミニウムと亜鉛の不足が生じる恐れがある。
チリのリチウム生産は、乾燥用の池への多量の降雨によって影響を受ける可能性がある。ブラジルの鉄鉱石輸出も、港湾の遅延というリスクを抱える。
サクソバンクは、地政学的混乱、貿易摩擦、金融政策見通しの変化が支配的だった数年間を経て、天候が再び重要な市場ドライバーとして浮上しつつあると述べた。



