勝山:もちろんAIで挑戦のハードルは下がっています。先日会った少年院を出たばかりの子は、AIでSNSアカウントを量産してお金を稼いでいると言っていました。良くも悪くも、「行動を起こす」こと自体は容易になっていますよね。ただ、その半面で三浦の言う偶然性に加えて、「魂」や「志」の共有はやはり憧れの存在との出会いからしか生まれない。「18歳の成人式」もSNS上の情報だけでなく、全国各地の学校を訪れたスタッフから生の話を聞いて、「俺も動かなあかん」と思って来てくれる子がたくさんいるんです。若者が境遇を変える決断をするときは、身体性や体温のあるロールモデルの存在が不可欠なのだと思います。
大槻:昨今のAIの台頭によって、誰もが「生きている意味」を考え直すようになったと思うんです。AIに仕事を代替されてしまう恐怖があるからこそ、従業員には自分らしい道を生きろと伝えています。
毎週行っている全社会議でも、それぞれが生きたい道を歩むなかであえて今FinTを選んでともに働き、同じゴールを目指していることの尊さを伝えるようにしています。会社によってビジョンはもちろん、カルチャーやスタンスも違う。だからこそ、どこに所属し、誰と一緒に全力で夢を目指すのかは、従業員一人ひとりにとって重要な選択です。仮に自己表現をする場所がFinTでなくても良いと思っている人がいたとしたら、絶対にどこかの段階で苦しくなり失速してしまうと思います。一緒に夢を目指せないのなら、無理にやる必要はないんです。
小林:皆さんの会社は従業員の平均年齢が20代かと思いますが、当社の従業員は20代から60代と幅広く、平均年齢は44歳です。そんな当社では「誰もが宇宙で生活できる世界を創る」というビジョンに共感し、「支えたい」と入社する人が多いです。
その根底には、「この経営者の考え方が好きだから」という人間的な結びつきがある。皆さんのお話を聞いて、その重要性を今あらためて感じています。
宇宙スタートアップは、突き詰めれば目指している方向性はみんな似通っています。でも、そこに対するアプローチやスタンスは明確に違う。ビジョンも重要な一方で、それに対して「どういうロードマップを描いて上っていくのか」のスタンスを示すことが、大きな差別化になっていくのだと考えています。
三浦:今は企業のビジョンさえもAIで“それっぽく”捏造できる時代になったと思うんですが、皆さんの会社に共通するのは、ビジョンだけでなく「スタイル」や「スタンス」で引きつけている点ですよね。自分たちらしい振る舞いやスタンスドリブンな意思決定は、AIには捏造できない。そこへの共感が、組織の強い求心力になるのだと思います。ヤンキーが「友達が殴られたら殴り返す」のも極めてスタンスドリブン。特に若者の人生選択においては、重要な要素なのだと思います。


