「米国人が認めようが認めまいが、戦争に対する包括的なアプローチの一環としての現代技術の活用で、ウクライナはわれわれの先を行っています」とピケンズは言う。「戦略次元から戦術次元まで、ドクトリンの面でも技術の面でも、ウクライナは世界のどの国よりも速く革新を進めています」
ウクライナのドローン産業は驚異的なペースで拡大している。地元メディアのキーウ・ポストは、独立した推計ではウクライナは2025年に無人艇を含むドローンを約400万機生産し、2026年にはその数が500万~600万機に増える見込みだと伝えている。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナは2026年にドローン生産数を約1000万機に増やすことを目指しているとロイター通信に語っている。ウクライナ当局によると、追加投資が行われれば生産能力はいずれ年間2000万機に達する可能性があるという。
ピケンズは「米国の特殊作戦部隊の指導部や防衛産業の指導者たちとつながり、この戦争について臆測ではなく現実を伝えていくのは、ものすごく大事なことです」と強調する。「ドローン戦は、損害ゼロの戦争をほぼ不可能にしてしまいました」
米ノースカロライナ州で6月、防衛関連企業の創業者や投資家、軍関係者、政策アナリストらを招いて開かれた防衛技術会合「メリディアン・フォージ」でも、こうした懸念が繰り返し取り上げられた。
イノベーションのエコシステム
同じく元グリーンベレーでメリディアン・フォージのリードオーガナイザーを務めるジョセフ・ギャクナードは、課題はドローンなどの技術そのものではなく、米国の組織がそれを活用するために十分な速さで適応できるかどうかだと説く。
「米軍はウクライナから教訓を汲み始めていると思います」とギャクナードは筆者に語り、こう続けた。「わたしが心配しているのは、それがどんな教訓かです。現状では、その教訓は『ドローンが必要だ』というものにとどまっているように見える。これはもっと大きなものへ発展させないといけません。つまり、『イノベーション(革新)の精神、そしてイノベーションを起こす人たちに力を与える権限とリソースが必要だ』というものへです。ハードウェアはあくまで結果にすぎず、本当に重要なのはそれを生み出すエコシステムなのです」


