東海岸と西海岸のコンベンション
この10年で最も値上がり幅が大きいコンベンションは、ニューヨークのAnime NYCである。この3日間のアニメイベントは、ニューヨーク・コミコンと同じLeftField Mediaが2016年に設立したものだ。当初ジャビッツ・センターで60ドル(約9720円)だったが、現在は開催日が1日追加され、入場料は175ドル(約2万8350円)に上昇。9年間でほぼ3倍になった。
「東海岸最大のアニメコン」を謳うものの、Anime NYCの自己申告による延べ来場者数は14万8000人で、Anime Expoの2025年の数字の3分の1に過ぎない。プログラム量にも明らかな開きがあるのに、価格差はわずか20ドル(約3240円)だ。
東海岸のコンベンションが300時間以上のプログラムを謳う一方、西海岸のAnime Expoは1000時間以上を誇る。ただし、どちらもコンサートやメイドカフェなどの特別体験といった追加イベントへのアクセスには別途費用がかかる。
ファンの集いから消費者が離れていく
それでもなお、これらアニメ専門イベントは開催都市に大勢の人々を呼び込み、歓迎すべき経済効果をもたらしている。2025年、SPJAは「地元のホテル、レストラン、企業に1億1000万ドル(約178億2000万円)以上」の経済効果があったと報告した。ただ、前年比の成長率は1%未満にとどまり、過去3年間で最も小さな来場者数の伸びとなった。
考えられる理由には、政治的緊張や、関税・失業・生活費といったマクロな社会経済要因がある。来場者は大規模なアニメ業界パネル、高額な物販ホール、そして高い入場料に疲弊している可能性もある。2022年に当日券が140ドル(約2万2680円)に下がった「一息つけた」1年を経て、入場バッジ価格は翌年185ドル(約2万9970円)に急騰した。
この45ドル(約7290円)の値上げは参加を阻む要因となった可能性があり、バッジは以前ほど早く売り切れなくなった。例えば、1日券は2025年7月2日に完売したが、これはイベント開始の前日だった。4日券はコンベンションの開催2日前(7月1日時点)でもまだ完売が発表されていなかった。2024年には4日券はAnime Expoの前日に完売し、2023年には開催のほぼ2週間前に売り切れていた。
2025年、消費者物価指数(CPI)は全品目の価格が前年比2.4%上昇した。移民取り締まりの懸念や、アーティストやベンダーに影響を与える関税と相まって、これらの複合的な要因が来場者を自宅にとどまらせた可能性がある。
「長らく待ち望まれていた(ロサンゼルス・コンベンションセンターの)拡張計画をめぐる不確実性」と併せて、SPJAのレイ・チャンCEOは、非営利団体としてイベントの「長年の本拠地であるロサンゼルス市を見極めている」と述べた。工事の進捗次第では、このコンシューマーショーは将来、新たな開催地を見つけなければならないかもしれない。
今のところ、2026年のイベントはロサンゼルス・コンベンションセンターに戻る予定だが、4日券はまだ完売していない。2026年は複数のアニメコンベンションでファンが料金面から締め出される格好となっており、来場者数の面でAnime Expo 2026はこれまでとは大きく異なるものになり得る。


