重力マイクロレンズとは
地球から約2万6000光年の距離にある銀河バルジを捉えた今回の画像について、重力マイクロレンズと呼ばれる観測的現象による銀河系内の太陽系外惑星探索にうってつけだと、科学者は期待している。この探査法は、2つの恒星が観測者から見てほぼ同じ視線上に並ぶ機会を利用する。この間、手前にある星の重力が拡大鏡のように機能することで、後方にある星の光が曲げられて増光する。
仏パリ天体物理学研究所(IAP)と豪タスマニア大学に所属するジャン・フィリップ・ボリューは、声明の中で「この技法を利用して、過去20年間で約300個の系外惑星が発見されている。これらの惑星は全て地上望遠鏡を用いて、銀河系中心方向で発見された」と説明する。「ユークリッドで得られた今回の画像は、51個の既知の惑星系が含まれており、今後発見されるさらに多くの惑星系を調査する助けとなるに違いない」
2025年3月に26時間かけて撮影された今回の銀河バルジ画像は、空の9つの領域を繋ぎ合わせたもの。各領域は満月の見かけの大きさよりも大きく、35年以上前に打ち上げられたNASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)の視野の270倍の広さがある。ESAは6月24日に銀河バルジ画像を一般に公開した。
Capture the Atlasのザフラは画像を初めて見て、信じられないほどの密集状態だと指摘した。
ザフラは「銀河系写真家として、銀河中心の構造と細部を明らかにしようと夜空の下で多くの時間を費やしているが、今回の画像はこの経験を根底から覆すものだ」と述べている。「この画像では、地球との間の非現実的な距離が取り除かれ、銀河系中心部が圧倒的な数の個別の星の集合体として現れている」
ユークリッド望遠鏡の観測データは、NASAの広視野赤外線宇宙望遠鏡ナンシー・グレース・ローマン望遠鏡の基準点となる予定だ。スペースXのファルコンヘビーロケットに搭載されて打ち上げられるローマン望遠鏡は、今後数年間で銀河系のバルジを繰り返し観測する。ローマン望遠鏡を中心としたNASAの観測計画「銀河バルジ時間領域サーベイ(Galactic Bulge Time-Domain Survey)」では、惑星や小型の氷天体、小型ブラックホールなどの天体をモニタリングする。


