経済学101 : ポピュリズムの台頭において、政治制度はどこまで決定的要因ですか? 特に大統領制はポピュリズムと結びつきやすいと言われていますが、実証的にそう言えるのでしょうか?
高宮:ドイツ人の政治学者、ステファン・ガングホーフ (Steffen Ganghof) の著書『大統領制と議院内閣制を超えて』 (Oxford University Press、2021年) の第9章で、大統領制とポピュリズムの結びつきについて詳しく書かれています。
まず前提として、ポピュリズムは定量化が難しく、厳密な国際比較が困難です。ピッパ・ノリスとロナルド・イングルハートの共著『カルチュラル・バックラッシュ』でも一生懸命試みられていますが、ポピュリズムの国際比較はまだ途上段階にあると思います。専門家に判定をしてもらう方法が一般的で、ノースラロライナ大学チャペルヒル校の調査 (CHES) やPOPPAデータ、PopuListデータが有名です。
その上でガングホーフの著書で挙げられている先行研究によれば、大統領制の国ではアウトサイダーが権力を握ることが多いそうです。トランプ氏のように、政界とは距離があるアウトサイダーが権力を握るケースが多い。日本も大統領制だったら、堀江貴文やひろゆき、本田圭佑、前澤友作、ビートたけしあたりが当選するかもしれません。これらの面々ならまだ良さそうですが、保守論壇のネトウヨ系インフルエンサーも当選しえます。
そして、大統領選は「個人」に投票するため、どうしても個人崇拝的な魅力を持つ人物が登場しやすくなります。こうして、アウトサイダーが個人崇拝と結びつき、政治が不安定になるのです。
もう一つは、大統領選挙は選挙区が広いため、SNSやテレビといったメディアと非常に相性が良い点です。ポール・ケニーの定義的な意味合いで、既存の政党や中間団体を回避し、メディアを通じて一般大衆に直接訴求するポピュリストが出やすい構造があります。ですから、通説的に「大統領制がポピュリズムと結びつきやすい」というのは正しいと思います。


