経済学101 : ポピュリストは一院制でダイレクトに民意を反映させていく、と。
高宮:極論、ポピュリストにとっては、ファシズム的な一元体制のほうが都合がいいわけです。ですから、世論誘導によって一院制へ持っていかれてしまう恐れがある。なので参議院の将来を国民に委ねるのは、参議院改革における大きなジレンマだと思います。
経済学101 : 他の国でも貴族院(第二院)が残っていて、それが一種のバッファーになっているというお話を本に書いていらっしゃいましたが、哲学者、ジョセフ・ヒースも全く同じことを言っています。カナダでも上院があって、下院の法案は一度そこでスクリーニングされる。それはある意味では儀式的な行為かもしれないけれど、そこで変な政策は通さないという機能があるんだ、という話をヒースがしていて。
高宮:ポピュリストを第二院が抑止するというのは、英国貴族院研究の大家、メグ・ラッセル教授など、色々な人が期待を込めて語っています。
第二院で敢えてポピュリズム政党を取り込み、飼い馴らすという私の理論は少し癖があるもので、ガングホーフの本にも書かれていません。ただこの視点を加えることで、半議院内閣制はより魅力のあるものになると考えています。オーストラリアでも、上院で伸びたワンネイション党の主張を、保守連合政権が穏健な形で取り込んでいます。日豪はどちらもポピュリズム政党を適切に管理できている稀有な民主主義国です。
日本の経験が政治制度論一般に貢献できる可能性があります。今後は国際発信も積極的にできればと考えているところです。
経済学101 : 本日は長時間どうもありがとうございました。

高宮秀典(たかみや・しゅうすけ)◎拓殖大学政経学部助教授。東京大学大学院博士課程(法学)修了。同大学院法学政治学研究科ビジネスロー・比較法政研究センター特任研究員などを経て2024年より現職。著書に「参議院による多元的民意の反映 政治改革の補正と阻害」(東京大学出版会)。


