【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

経済・社会

2026.06.30 14:45

日本のポピュリズムは抑制されているのか? 参政党が果たした意外な役割

ジアコモ・バグナラ=イラストレーション

このように参議院というのは、衆議院を基盤とするポピュリストと激しく対立します。なぜ対立するのかというと、衆議院の小選挙区制は勝つために50%以上の支持が必要なので、都市部の無党派層にウケる人が当選します。小泉純一郎さんがそうですし、橋下さんの維新も関西では小選挙区で常勝です。こうして新自由主義的なポピュリストが衆院に生まれます。

advertisement

それに対して、参議院は選挙区が広いため、選挙を動かす主体が衆院選と異なります。自民党の場合、参院選の選挙区を支えるのは地元の「県議団(地方政治家)」です。その結果、参議院自民党は「地方の民意」を強く代弁するため、郵政民営化にも反対したわけです。比例区を見ても郵便局などの業界団体の代弁者が並んでいますし、各自民党県連が地元の元衆院議員 (ほとんどが元県議) を送り込んだりしてます。こうした地方や業界の基盤を持つ人たちが造反したからこそ、小泉首相の強権政治を抑止しました。

一方の参議院民主党(現・立憲民主党)も、広域な選挙区・比例区の選挙は労働組合が仕切ります。その結果、参議院の民主党や立憲民主党は左寄りとなり、維新を抑制したのです。少し脱線しますが、いま中道改革連合に立憲民主党がすんなり合流しない(できない)理由もここに一因があります。立憲民主党は参議院議員だけから構成され、トップは日教組系の水岡俊一氏ですが (比例区選出、元々は兵庫県選出参院議員) 、参議院議員から構成される現立憲は左寄りで、いわゆる「中道」ではないのです。蓮舫さん・辻元清美さんなどの市民派や、吉田忠智さんという元社民党系議員もいます。

ここまでの議論を振り返ってみると、地方政界・業界団体・労働組合も、あるいは参政党を支持した非正規労働者や就職氷河期世代、国民民主党を支持した現役世代、れいわ新選組を支持した失業者も、みんな一様に都市部の無党派層とは異なる「弱者」なんですね。もちろん医師会など強者はいますが、大多数は裕福とは言い難い人たちで、組織票の有無にかかわらず、そうした社会的弱者を代弁するのが参議院の役割です。比例区や都市部の大選挙区は20%、10%の得票率で勝てますから、少数者であっても代表を送り込めるのです。

advertisement

民主主義というのは多数決なので、多数決の敗者が全体の決定に納得し従うことが、社会の安定には必要です。そのためには、社会がある程度同質的であることが重要で、格差はこの同質性を傷つけます。参議院はまさにこの格差を是正する働きを通じて、民主主義政体の持続性を高めるのです。ポピュリズムの暴走を抑えることができます。

ちなみに、参議院にはグローバル化・新自由主義の被害者だけでなく、障害者や女性、アイヌ、被差別部落、在日朝鮮人、性的少数者など、言わば「近代化」の被害者も存在してきました。今も一部は存在しています。このようなマイノリティーの声を政策に取り込むことで、民主主義はより成熟したものになると考えます。

次ページ > 半議院内閣制は日本でたまたまうまくいっているだけか

青野浩=インタビュー

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事