一方、米国防総省は現地時間の6月16日、太平洋からインド洋までを担当する米インド太平洋軍の名称を以前の「太平洋軍」に戻すと発表した。米国防総省は管轄地域や任務に変更はないと説明している。2018年5月に、第1次トランプ政権のマティス国防長官(当時)が、「インド太平洋軍」への改名を発表していた。韓国の安保専門家は「日本の安倍晋三政権の『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』構想を受け、中国を包囲するという発想で生まれた名称だった)と指摘する。
ただ、トランプ米大統領は5月の訪中の際、習近平国家主席との間で「建設的な戦略的安定関係」で合意した。ヘグセス米国防長官は5月末、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で演説し、アジアの同盟国に防衛費の増額を訴えたが、厳しい中国非難は避けた。米政府元当局者は「中国との関係改善を目指しているホワイトハウスから、中国を刺激しないように指示されたようだ」と語る。
「太平洋軍」への名称変更は、「中国を包囲する考えはない」というトランプ政権の戦略的メッセージなのかもしれない。同時に、南シナ海や尖閣諸島などの防衛で地域同盟国への負担を求める考えを裏付けるものだとも言える。防衛省統合幕僚監部などによれば、中国空母「遼寧」などは5月から6月にかけ、フィリピン西方などで訓練を実施した。最近、中国との対決姿勢を強めているフィリピンへの威圧行動も兼ねていたとみられる。軍事専門家によれば、中国海軍の活動を監視していたのは主に海上自衛隊だったという。この専門家は「イラン攻撃のため、米軍の体制が手薄になっている影響とみられる」と語る。
イラン攻撃に参加した米軍艦船の大半はなお、現地海域にとどまっている。停戦合意の進展により、米軍がアジア地域に戻ってくる可能性はある。しかし、中国のミサイルの射程が伸び、ドローンの量産が続くなか、米国内でアジア地域での「オフショア・バランシング」が強まる可能性は十分あるだろう。


