米CNNは、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が近く公表する資料として、米国防総省がイランに対する攻撃で負担した費用が約400億ドル(約6兆5000億円)に上ると伝えた。米国防総省当局者は4月末の議会証言で、イラン戦争の作戦費用が250億ドルに上ると明らかにしていた。
米シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」ジェニファー・カバナー上級フェローによれば、250億ドルの試算は大半が弾薬やミサイルの費用で、米軍の装備や基地の損傷、運用と、航空機や艦船の消耗に伴うコストを十分織り込んでいない可能性があるという。事実、イランは湾岸諸国にある米軍基地をミサイルや無人機(ドローン)で攻撃した。米政府は詳しい被害状況を明らかにしていないが、衛星から確認できるほど大きな被害を受けた基地もあったようだ。米メディアによれば、ヨルダンでは、米軍の高高度ミサイル防衛システム(THAAD)で使うレーダーや付属設備が、サウジアラビアでは米空軍早期警戒管制機(AWACS)が、それぞれ破壊されたという。
米国とイランとの敵対関係が解消されない限り、こうした米軍の前方展開基地の軍事的価値がなくなることはない。ただ、米国は後方に退いて、日本や韓国などの地域同盟国に中国を抑止させればよいという「オフショア・バランシング」を主張する声が高まる可能性がある。
実際、安全保障研究者のケイトリン・タルマッジ氏とマラ・カーリン氏は6月10日、米ブルッキングス研究所に「米国型戦争の終わりか?」という論文を発表した。論文は、イランによる数千発のミサイルやドローン(無人機)の攻撃から、米軍の前方基地や艦船が聖域ではないことが示されたと指摘した。そのうえで、「米国は自国の基地や空母(場合によっては本国も)が、将来の大国との戦争において守られないという現実を受け入れなければならない」と主張した。
実際、複数の米軍元幹部は、現在の戦略は別にして「台湾有事の際、中国軍ミサイルによる被害を避けるため、米空海軍を(日本列島から台湾、フィリピンを経て南シナ海を囲むように延びる)第1列島線から、(小笠原諸島からグアムなどを経てパプアニューギニアに向けて延びる)第2列島線よりも東に退避させることを検討した事実はある」と証言する。



