あなたは今、大きな決断が下される重要なチームミーティングに出席しているとしよう。
ここ2週間、夜遅くまで仕事に打ち込んでデータを収集し、所属部署の今後を左右し得る戦略を練り上げてきた。ところが、その成果に称賛の声が集まっていたさなかに、一人の同僚が口を開いてこう言った。「チームとともに、最後までこの仕事をやり遂げられてよかったです」と。
それを耳にしたあなたは、胃が締め付けられるように感じる。単なるいら立ちでは済まされないその感覚は、あなたのプロフェッショナルとしての存在感が脅かされている兆候だ。どう考えても「あなた」がやった仕事なのに、「私たち」の仕事と言われてしまえば、裏切られたような気持ちになるのももっともだ。
成果をほめてもらいたいなんて、心が狭いのではないか、という葛藤もある。とはいえ、職場で正当な評価を受けることは、自らの影響力を、上司に正しく把握してもらう上で不可欠だ。
職場で燃え尽きてしまう要因は数多いが、その一つは、懸命な働きに見合った評価や報酬を得られないことだ――米セントラルフロリダ大学の心理学教授ミンディ・ショスは、米国心理学会(APA)のサイトに掲載された記事の中でそう指摘している。
自分の実績を自分でアピールしなければ、他人が自分に都合よく解釈して伝えてしまうだろう。では、成果を他の人に横取りされないよう守りを固め、存在感を取り戻すためにできる戦略的な方法を説明していこう。
先を見越して、作業を記録しておく
成果を横取りされたくないなら、他人が「自分がやった」と絶対に言えないような状況を作っておくのが一番だ。そのためにはまず、最終プレゼンテーションが行われるよりずっと前の段階から、自分が積み重ねている作業の軌跡を記した文書を作成しておこう。
作業は、個人用のプラットフォーム上で行わず、GoogleドキュメントやMicrosoft Teamsなど、文書を共有できるサービスを利用しよう。そうすれば、過去の作業ファイルがバージョン履歴として残るので、誰がいつ取り組んだのかがわかる。
上司に最新ファイルを送る際には、必ず関係者をCCに入れよう。そのひと手間で、自分の実績が定量化され、プロフェッショナルとしての価値を守ることができる。
さらに、文書化されたものは、作業の記録以上の役割を果たす。あなたの判断に対する周囲の見方を変えていくことになるのだ。最新の文書を定期的に共有しておくことで、あなたは、そのプロジェクトについて確かな情報を得られる一次情報の発信者、という立場も確立できる。
首尾一貫して情報を共有していけば、その効果が積み上がり、同僚が最後の最後で大きな成果を横取りすることははるかに難しくなる。



