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アート

2026.07.05 13:00

世界初のAIアート美術館、音と香りとともにパーソナルな鑑賞体験を

2026年6月20日にオープンした美術館「DATALAND」(Photo by Mario Tama/Getty Images)

2026年6月20日にオープンした美術館「DATALAND」(Photo by Mario Tama/Getty Images)

レフィク・アナドルが「世界初のAIアート美術館」を開館させる場所にロサンゼルスを選んだことには、それ相応の理由がある。ジェームズ・タレルは1960年代、サンタモニカの閉業したホテルの建物を借り、窓を覆って中に差し込む光をコントロールしながら、作品を制作した。「ライト・アンド・スペース」と呼ばれる芸術運動が生まれたのは、この街だ。光と空間を材料とした作品を制作したアーティストたち(ロバート・アーウィン、ダグ・ウィーラーなど)はその後、視覚から知覚を引き出すことを唯一の目的としてきた。

それからおよそ60年、トルコ出身のアナドルは2026年6月20日、ロサンゼルス中心街にあるウォルト・ディズニー・コンサートホールの向かい側に、来場者たちを驚かせる没入型の複合型エンターテインメント施設、延床面積およそ2300平方メートルの「DATALAND(データランド)」をオープンした。フランク・ゲーリーが設計したその複合施設内に開館したその施設は、15億ピクセルを駆使する映像・照明システムを備えた5つのギャラリーがある。

市場調査レポート、「インテル・マーケット・リサーチ」によると、没入型エンターテインメントの市場規模は2025年、およそ124億ドル(約2兆円)に達した。データランドはその没入型エンターテインメントの「最上位モデル」だ。

だだ、施設のプレビューでは、AIが生成した画像は本物のアートなのか、あるいは単に「クールに見えるデータ」なのかという疑問の声もあがった。『ニューヨーク・マガジン』の美術評論家であるジェリー・サルツは、アナドルが2022年から2023年にかけてニューヨーク近代美術館(MoMA)で披露したインスタレーションを、その人気にもかからず、あるいはその人気のために、「巨大なテクノ・ラバランプ(液体蝋を使用した照明器具)」や「50万ドルをかけたスクリーンセーバー」と批評した。

パーソナライズされたアートを体験

データランドに入るとすぐに、来場者は背の高いスクリーンが設置された真っ暗な部屋に案内される。まるで宇宙船を思わせるような入り口だ。縦長のステーションでチケットをスキャンすると、館内での旅に必要なウェアラブルデバイスが入った箱が開く。

来場者はバイオセンシング(生体情報モニタリング)機能を搭載したリストバンドをつけ、心拍数と皮膚温、ガルヴァニック皮膚反応(皮膚電気反応、GSR)を計測しながら、ギャラリーへと進む。また、首には美術館と提携するロレアル・リュクスが提供したセントディフューザー(芳香拡散器)を装着し、香りとも連動した没入型体験をすることになる。

リストバンドが読み取った数値のデータは、中央のシステムに送られ、来場者それぞれの、さまざまな「感情」として読み取られる。このセンサーが捉えるのは、生理的覚醒(神経系の活性)に近いものだ。ギャラリーではオープンソースのAIモデル、「Large Nature Model(大規模自然モデル、LNM)」が読み取ったそれらの感情に基づき、映像が表示される。つまり、来場者はそれぞれの気分に応じた異なるアート作品を鑑賞する。

巨大な洞窟のような「Data Pavilion(データ・パビリオン)」には、84台の4Kプロジェクターが設置され、提携するロンドン自然史博物館、スミソニアン博物館、ゲッティ研究所、カリフォルニア科学アカデミーが運営する非営利のプラットフォーム「iNaturalist」、コーネル大学鳥類学研究所から入手した16の熱帯雨林の画像5億枚以上などで学習させたLNMによる展示が行われている。

また、世界中の熱帯雨林からその生態に関するデータもリアルタイムで送られてきている──それらはすべて、リストバンドを装着した数十人の来場者たちが装着したリストバンドから得る生体情報に基づいている。

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編集=木内涼子

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