メガロドンは何を食べていたのか?
メガロドンが好んで捕っていた獲物は、クジラ、イルカ、ジュゴンといった大型の海洋哺乳類、および今日それらの生態学的役割を担っている動物の祖先であったと考えられる。これを裏付ける証拠は、化石記録そのものに保存されている。
『Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology』に掲載された2017年の研究によると、中新世および鮮新世のクジラや鰭脚類(アシカ、アザラシなど)の骨から、メガロドンの歯と一致する咬痕が確認されている。多くの場合、骨を断ち切るほどの強力な攻撃によるものと考えられる、壊滅的な構造的損傷が見られる。
メガロドンの狩猟方法について咬痕の証拠が示唆していることについては、依然として様々な解釈が行われている。一部の化石化したクジラの骨に見られる傷のパターンは、生命維持に不可欠な器官の近くにある骨格部位に集中している。このことから一部の古生物学者は、メガロドンは、現在のホホジロザメに典型的な、軟組織を狙う手法ではなく、相手を急速に無力化できる可能性が高い部位を狙っていたのではないかと考えている。
これは、あくまで暫定的な仮説だ。化石記録は断片的であり、その時々のチャンスを利用する日和見的な狩猟方法や腐肉食を完全に否定することは難しい。明らかなのは、この動物の体格と咬合力により、一撃で壊滅的な被害を与えることができたということだ。
メガロドン絶滅の謎
その圧倒的な存在感にもかかわらず、メガロドンは姿を消してしまった。その理由は、古生物学において最も興味深い未解決の謎の一つと言える。
有力な仮説では、メガロドンの絶滅は、約300万~400万年前に起きた海洋生態系の劇的な変化と関連していると考えられている。地球が寒冷期に入ったことに伴い、世界の海水温は低下した。メガロドンが好んでいた、暖かく浅い沿岸海域(そうした海域では、その巨大な体を維持するために必要な大型の獲物が、高密度で生息していた)は、大幅に縮小した。
同じ時期にクジラは、より捕獲されにくくなるような方向へと進化していた。つまり、より速く、より機動性が高くなり、メガロドンの生息に適した海域の外側にある、より冷たく深い海域へと移動するようになっていった。


