確保した生産能力と原材料が、2027年までの161兆円の売上目標を支える
基本的な考え方は単純である。作れないものは売れない。エヌビディアの成長を物理的に制約している主な要因は需要ではない。AIアクセラレーターを作るために必要な、複雑なサプライチェーンだ。生産能力と原材料を1450億ドル(約23.35兆円)相当分確保することで、同社は自ら掲げる売上予測を実現する土台を築いている。
この戦略は、問題が起きる前に先手を打つものだ。経営陣は、2027年までにBlackwell(ブラックウェル)とRubin(ルービン)で1兆ドル(約161兆円)の売上を達成できると自信を示している。そうした見通しだけを聞くと抽象的に見えるかもしれない。だが、チップ生産に必要な原材料を確保するため、実際に9桁規模、つまり1件あたり少なくとも1億ドル(約161億円)以上とみられる調達契約を進めていることを見れば、その自信には具体的な裏づけがあると分かる。
最大のリスクは、成長がどれだけ続くか
エヌビディア株にのしかかる最大のリスクは、成長がどれだけ続くかである。現在、株価が圧力を受けているのは、市場がこの水準の成長の持続期間を疑問視しているためだ。
同社の株価収益率(PER)は30.3倍である。相対的には高いが、過去10年の範囲である19.6倍から143.1倍の中では低い水準にある。これは、投資家が過去と同じようなペースの成長を将来も続くものとして株価に織り込むことに慎重になっていることを示している。
調達契約は、持続性への懸念に対する回答
エヌビディアのこうした調達契約は、その懸念に対する直接的で重要な回答である。景気循環における需要・業績のピークが近いと恐れている企業なら、この規模の長期調達契約には踏み切らないだろう。つまり経営陣は、かなり早い段階で生産能力を押さえるリスクを取るだけの需要の伸びがあると見ているのである。
確保した原材料や生産能力を売上に変えられるか
もちろん、調達契約を結んだからといって、それがそのまま売上になるわけではない。最終的に問われるのは、確保した生産能力と原材料を実際の売上に変えられるかどうかである。それでも、エヌビディアの市場での地位がどれほど強いのかを見極めようとする投資家にとって、この1450億ドル(約23.35兆円)という数字は、メディアで報じられる成長率だけでは分からない、具体的で将来を見据えた指標になる。


