「壮絶な怒り(エピック・フューリー)作戦」はけっして安上がりではなかった。
独立系団体の推計によると、米国が2月28日にイランに対する攻撃を始めて以来、この武力紛争による米国の納税者の負担は直接の軍事費だけで350億ドル(約5兆7000億円)を超える。
さらに、ホルムズ海峡の封鎖や石油供給の混乱、ガソリン価格の上昇といった幅広い経済的損害も加えると、米国の消費者や経済への打撃は約1320億ドル(約21兆4000億円)に達すると米ムーディーズ・アナリティクスは試算している。この金額はいまもなお増え続けている。
米国とイランの間で6月半ば、非公式の終戦を示す覚書が署名されたことを受けて、こうした数字に注目が集まっている。しかし、投資家として筆者が最も重要だと考えている問いは、この紛争にいくらかかったかではなく、「次に何が起こるか」だ。
兵器の消耗
読者にまず考えてほしいのは、戦闘の初期に米軍が精密誘導兵器を驚異的なペースで消耗したという事実だ。
弾薬・迎撃ミサイルだけで総費用の80%超を占め、1日あたりおよそ7億5000万ドル(約1200億円)分を費やした。米軍は1発350万ドル(約5億7000万円)ほどするトマホーク巡航ミサイルを1000発以上発射したほか、パトリオット、THAAD、スタンダードミサイル(SM)といった迎撃弾も1500~2000発程度使用した。
一方で航空機42機が失われるか損傷するかし、中東の8カ国にある米軍施設計20カの米軍施設も攻撃を受けた。
米国防総省の会計監査部門は、装備の修理・補充費だけで290億ドル(約4兆7000億円)にのぼると見積もっている。国防総省は現在、800億ドル(約13兆円)規模の追加予算を米議会に求めている。
回復には時間
消耗した兵器すべてを補充するには何年もかかる。米国防当局者は、トマホークの備蓄を完全に回復するだけでも最長6年を要する可能性があるとウォールストリート・ジャーナル紙に語っている。
ホワイトハウスがこのほど1950年制定の国防生産法を発動したのはまさに、現状の弾薬生産基盤では軍が必要とする速度で備蓄を回復できないからだ。工場の生産設備を再編し、サプライチェーン(供給網)も再構築する必要がある。



