ドナルド・トランプ米大統領は先週、兵器メーカー各社をホワイトハウスに招き、生産の加速を促した。トランプはこれより前に開いた記者会見で、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は「兵器の製造にたいへん乗り気だ」とし、その工場を転用してパトリオットやトマホークが造られることに期待を示していた。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザーで、明晰な分析で知られる防衛エコノミストのマーク・キャンシアンは最近、適切なインセンティブがなければ、求められるスピードでサプライチェーンを拡大することは不可能だと指摘した。簡単に言えば、防衛関連企業は政府から長期契約の確約を得られない限り、生産能力の拡大に踏み切らないということだ。
「ショー・ミー・ザ・マネー(金を見せろ=口先だけでなく実際の行動を)ということです」と、キャンシアンは米メディアのフェデラル・ニューズ・ネットワークのインタビューでメーカー側の懸念を代弁した。「彼らは、結局使われない設備は造りたくないのです」
だが、政府の確約は歴史的な規模で現実のものになりそうだ。
積み上がる受注残高
大手会計事務所PwCの航空宇宙・防衛業界の年央リポートによると、米防衛大手5社の2025年度末時点の受注残高は計1兆3600億ドル(約220兆円)に達し、前年比で24%近く増えた。なかには30%以上増加した企業もある。
とくに欧州向けの売上高は、米国の防衛大手各社で軒並み2桁の成長となっている。欧州の同盟諸国が防衛費の増額を一時的な危機対応ではなく、恒久的な計画前提として位置づけるようになったことが要因だ。
重要なのは、これらの受注残高は米国とイランの停戦によって消えるわけではないということだ。むしろ、戦闘が一時停止したことでエスカレーションのリスクが後退し、兵器の在庫補充という課題が一段と鮮明になったかたちだ。
現実に向き合う
戦争は悲劇である。この点は最初に言っておきたい。そのうえで言えば、投資家は「こうあってほしい世界」ではなく、ありのままの世界に向き合わなくてはならない。
その現実の世界はいまどうなっているか。兵器の備蓄が著しく減少し、各国政府は現代史上で最大規模の防衛費を投じようとしている。
兵器の備蓄は回復させる必要がある。残る問いは、誰がそれを造るのか、そして、読者がそれに応じたポジションをとっているかだ。


