18A技術:GAA設計
専門家がインテルの18Aチップの強みとしてまず挙げるのが、GAA(ゲート・オール・アラウンド)トランジスタだ。これはゲートでトランジスタの全周をぐるりと囲む構造で、消費電力を抑えつつ性能を引き上げることを狙っている。
TSMCもN2設計でGAAを採用している。ただしこちらは出遅れた。GAAはまだ要らないと判断し、長く従来のゲート技術にとどまっていたためだ。
裏面からの電力供給
18Aに組み込まれたもう1つの目玉が、PowerVia(パワーヴィア)と呼ばれる、チップの裏側から電力を送る仕組みである。
ユニークな名前だが、その中身はいたって合理的だ。電力を送る配線をチップの裏面にまとめ、その分、表面を信号用の配線などに広く使えるようにする、という発想である。
以下はインテル自身のニュースルームが伝えた内容である。署名のない記事だが、要点を紹介しよう。
「インテルの裏面電力供給技術はPowerViaと呼ばれる。2023年のVLSIシンポジウムで発表される2本の論文によれば、インテルはこれを製造し、試験し、良好な性能を実証する工程を編み出した。……チップ作りが初めて『両面式』になる。手順はこうだ。まず従来どおりトランジスタを作り、その上に配線層を重ねる。ここからが面白い。ウエハーをひっくり返し、表面を『すべて削り落として』、電力用の配線をつなぐ最下層をむき出しにするのだ」。
TSMCも、SPRと呼ばれるよく似た仕組みを、同じくN2に組み込もうとしているという。
メーカー側の事情
こうしたことを考えるとき、いつも頭から離れないのは、台湾出身のジェンスン・フアンという男が米国に渡り、ケンタッキー州とオハイオ州で暮らし、ファミリーレストランのデニーズの店内で、もう1つの巨大チップ企業エヌビディアを立ち上げたという事実だ。
そこには何か大きな意味があるように思えてならない。
確かに、製造(ファウンドリ)の世界はTSMCが握り、設計したチップの世界はエヌビディアが、握っている。エヌビディアは、かつてFAANGと呼ばれた大手IT企業(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)の一部に、最先端の事業を動かすのに欠かせない処理能力を供給してきた。
だが今、アップルなどがインテルを採用するというニュースが流れ、それがインテル株を一気に押し上げた。実際、過去1年の株価を追うと、昨年の秋までは1株20ドル(約3235円)前後、冬までは50ドル(約8088円)前後で動いていたが、本格的に跳ね上がったのは3月に入ってからだ。今では120ドル(約1万9411円)を超え、わずか数カ月で約500%もの上昇となった。短期の値動きを狙うスイングトレーダーが一攫千金を求めて群がるのも無理はない。
だが本当に大事なのは、別の次元にある。インテルの成長が象徴しているもの──世界市場を支えるファウンドリ大手が、1社ではなく2社になるという構図だ。
続報を待ちたい。


