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シリコンバレーのトップVCを辞めて、日本の「大企業のChage Agent( 変革の請負人)」となった伊佐山元。

シリコンバレーだけでなく、日本にも「Innovation Factory」の動きが出始めている。その代表的な事例こそ伊佐山元が率いるベンチャー投資・育成会社WiLの取り組みだ

2013 年12月、「日本版エコシステム」にとって大きな一歩となる出来事が起きた。その主役は、伊佐山元(41 歳)らが立ち上げたベンチャー投資・育成会社「WiL(ウィル)」だ。

10 社を超える大企業から3 億ドル(約300 億円)の出資を受けて、ベンチャー投資ファンド「WiL1 号ファンド」を組成した。前年度(12 年度)の日本のベンチャー投資額1,026億円のおよそ3割を占める独立系の巨大ファンドの誕生は、大きなインパクトを与えた。しかし、伊佐山は次のように話す。

「僕らはベンチャー投資ファンドだと思っていない。(中略)“ビジネスっ気のあるR&D(研究開発)センター”として『大企業のChange Agent(変革の請負人)』を目指す」

伊佐山はこれまで、“シリコンバレーの人”だった。世界のイノベーションの中心地・シリコンバレーを舞台に、アメリカのトップ・ベンチャーキャピタル(VC)のDCMのパートナーとして10 年間、文字通り、第一線で戦ってきた。シリコンバレーで伊佐山が感じていたのは“日本の可能性”だった。

「日本はもったいなく見えた。(中略)」

「大企業の研究開発費の1%程度の外部出資があれば、日本のベンチャーの大幅なスケールアップとグローバル化が可能になる」と同時に、伊佐山は大企業のR&Dセンターを変えることにも目を向けた。そして、伊佐山はDCMを辞め、2013 年8月にWiLを立ち上げ、日本から世界に誇るベンチャーを創造するというビジョンに向けた壮大な挑戦を始める。

伊佐山は1業種1社、誰でも知っている大企業の経営陣に直接会って次のように説得した。「内製化していることにより、外部に出したら評価される技術やアイデアが埋もれて、無駄になっていませんか。(中略)軌道に乗ったら、僕らが出資して大きくすることもできますし、買い戻せる権利もあります」

ほとんどの経営者から「面白いね」「やってみよう」との声が上がった。この背景には共同創業者2人やWiLのメンバーの影響も大きい。共同創業者の2人は元サイバーエージェントナンバー2の西條晋一と元ヤフーCIO(最高新規事業責任者)の松本真尚。それぞれ新規事業を数多く成功させた人物として知られる。

現在、伊佐山の挑戦は、本格的に始動している。すでに日米6社に投資し、なかにはリードインベスターとしてスマホ向けゲーム会社のgumi(総計50 億円)、印刷受発注システムのラクスル(総計14.5 億円)といった未上場企業への大型投資も始めている。
 
「そろそろ公表できそうなプロジェクトが出始めている」と伊佐山は明かす。
日本の大企業を変え、“ 技術”“ 人”“カネ”を循環させ、ベンチャーと結びつける。「日本版エコシステム」の新連結の“ 車輪”がいま動き始めた。

山本智之

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