彗星を楽しむ準備はできているだろうか。「レモン彗星(C/2025 A6)」は現在、北半球から双眼鏡を使えば見つけられる。そして、10月いっぱいは観測できる見込みだ。
10月21日に地球に最接近し、11月8日に太陽に最も近づく近日点に到達する。この期間が絶好の観測チャンスとなる。最も楽観的な予想が当たれば、4等級まで明るくなり、街灯や町明かりなどの影響のない暗い空の下でなら肉眼でも見えるようになるかもしれない。7.5等級程度でも、双眼鏡を使えば十分に観察できる。
観測計画を立てよう──今すぐ追跡開始を
レモン彗星(C/2025 A6)の追跡は、10月上旬の今から始めるのがよい。中旬までは未明~明け方の北東の空に見え、日々高度を下げていく。16日には、りょうけん座の3等星コルカロリの近くを通過する。コルカロリは北斗七星の「ひしゃくの柄」と並んで光っている比較的明るい星なので、双眼鏡を使う観測者にとって彗星を見つけるのに便利な目印となる。中旬以降は夕方~宵の西の空に現れ、夜ごとに高度を上げていく。

ただし、明るさについては予測が難しい。彗星の光度は、太陽に近づくにつれてどれだけの量の塵やガスを放出するかによって変わるからだ。レモン彗星(C/2025 A6)の場合、最悪でも双眼鏡でなら十分観測可能な明るさになりそうだ。
見ごろは10月21日前後
レモン彗星(C/2025 A6)は10月21日、地球に最接近する。近日点到達はその2週間余り後の11月8日だ。この間、すなわち10月下旬から11月上旬にかけて、彗星は最も明るく輝き、観測しやすくなる。だが、11月5日が満月なため、その前後は月明かりが邪魔をする。したがって新月の10月21日前後、彗星が明るさを増した直後が見ごろとなる。早めに観察に臨んでほしい。

観測タイムライン
レモン彗星(C/2025 A6)は移動速度が速いため、夜空での位置は日々大きく変化する。日本から観測するにあたって押さえておきたい日付を以下にまとめた。
・10月12日頃:日の出1時間前、北東の空で北斗七星のひしゃくの右側に見える
・10月16日:日没後の北西の低空で、りょうけん座の明るい星コルカロリから1度以内まで大接近する
・10月21日:地球最接近。この夜が最も明るく輝いて見える
・11月5日:「ビーバームーン」の満月。今年最も地球に近く非常に明るいスーパームーンが夜空を白く染め、彗星は見えにくくなる
・11月8日:彗星が近日点に到達し、明るさがピークを迎える
・11月下旬:双眼鏡でしか見えないほど暗くなる

レモン彗星を見るには
明るさによっては、観測機器が必要になるかもしれない。肉眼でも見える可能性はあるが、次の2つを備えておけば見つけやすくなる。
・車:何よりも、光害の影響のない暗い空を確保することが肝心だ。NASAは、都市の明かりから30~50km離れた場所へ行き、目が暗闇に慣れるまで少なくとも20分待つよう推奨している
・双眼鏡:10倍50mm口径(10×50)か、これに近い倍率がおすすめ。低空にある彗星を見つけるのに役立つ





