宇宙

2024.07.27 15:00

火星で古代の「生命の存在」を示唆する岩石発見、しかしさらなる研究が必要 NASA

2023年初頭に撮影されたパーサヴィアランスローバーの自撮り写真(NASA)

期待をしてもよいが、あまり興奮しすぎないように。火星で発見された岩石が、古代の生命の存在を示唆する特徴を備えていると、NASAが発表した。この岩石は矢じり型で、7月に火星探査車パーサヴィアランスがジェゼロクレーターで発見したものだ。NASAは米国時間7月25日の声明で「この岩石は、数十億年前、探査車が現在探査している地域に水が流れていた時代に、生命によって形成された可能性のある化学的特徴と構造を示している」と述べている。

「チェヤヴァフォールズ」(チェヤヴァ滝)と名付けられたこの赤みがかった岩石には、豹の斑点のような模様とカンラン石(鉄・マグネシウムを含む珪酸塩鉱物)が見られる(NASA)

「チェヤヴァフォールズ(チェヤヴァ滝)」と名づけられたこの赤みがかった岩石には、豹の斑点のような模様とカンラン石が見られる(NASA)

これは火星に微生物が存在していたことの証拠を示す発表ではなく、探査車が発見したものをよりよく理解するためのさらなる研究の呼びかけだ。NASAは「観測された特徴に対する他の説明も科学チームによって検討されており、『古代の生命体』が妥当な説明であるかどうかを判断するには、今後の研究が必要だ」と述べている。

パーサヴィアランスのチームは、この堆積岩に、グランドキャニオンで最も高い滝に敬意を表して「チェヤヴァフォールズ(チェヤヴァ滝)」というニックネームをつけた。プロジェクト担当科学者のケン・ファーリーは、「チェヤヴァフォールズは、パーサヴィアランスが調査した中でも最も不可解で、複雑で、重要な岩です」という。この岩石は最も広い部分で約3フィート(約0.91メートル)の幅があり、岩石に沿って走る白い筋には硫酸カルシウムが含まれている。

特に興味深いのは、硫酸塩の筋の間にある赤みがかった帯状の部分だ。これらの帯の中には、黒い物質で縁取られた小さな白い斑点がある。NASAはこれらをヒョウの斑点に例えている。パーサヴィアランスは、黒い縁取り部分に鉄とリン酸塩が含まれていることを突き止めた。宇宙生物学者のデイビッド・フラナリーは、この斑点を「大きな驚き」と表現した上で、「地球では、岩の中にあるこのような特徴は、しばしば地下に生息していた微生物の化石と関連しています」という。

 火星の岩チェヤヴァ・フォールズの注釈付き写真。ヒョウ柄の斑点とカンラン石の結晶が指し示されている(NASA)

火星の岩チェヤヴァ・フォールズの注釈つき写真。ヒョウ柄の斑点とカンラン石の結晶が指し示されている(NASA)

ローバーに搭載されているSHERLOC(ラマン&ルミネッセンスによる有機物および化学物質の居住可能環境スキャン)と呼ばれる機器で岩を分析したところ、生命の構成要素と呼ばれることもある有機化合物が発見された。しかし、これらの化合物は非生物的な起源を持つ可能性もあるため、その存在だけでは過去の微生物生命の証拠とはならない。

ローバーはまた、マグマから形成される鉱物である小さなカンラン石(Olivine、鉄・マグネシウムを含む珪酸塩鉱物)の結晶も発見した。これは不可解な特徴であり、科学者たちはこの岩がどのようにして形成された可能性があるのかを考えている。NASAは「カンラン石と硫酸塩が生物の生存が不可能な高温で岩に取り込まれ、非生物的な化学反応を引き起こしてヒョウ柄の斑点を生み出した可能性はあるだろうか?」という疑問を投げかけている。答えはまだ出ていない。
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翻訳=酒匂寛

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