欧州

2024.07.03 11:30

ウクライナ空軍、駐機中のSu-27戦闘機6機を失う大損害 「組織的怠慢」に危惧

ウクライナ空軍のSu-27戦闘機。2017年8月、ポーランド・ラドム(Dawid Lech / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍のSu-27戦闘機。2017年8月、ポーランド・ラドム(Dawid Lech / Shutterstock.com)

1日かその少し前、ロシア軍の監視ドローンが、ロシアとの国境から150kmかそこらのウクライナ中部ポルタバ州にあるミルホロド空軍基地に飛来した。

ドローンは、ウクライナ空軍のスホーイSu-27戦闘機少なくとも6機が白昼、露天駐機されているのを発見した。そしてロシア軍のイスカンデル弾道ミサイルが撃ち込まれた(編集注:クラスター弾頭型が使用された)。この攻撃で貴重なSu-27のうち2機が撃破され、4機が損傷したもようだ。

ロシアが2022年2月にウクライナに対する戦争を拡大して以来、損耗がかさんでいるウクライナ空軍にとって、1日の損害としては最も大きなもののひとつになった可能性がある。ウクライナ空軍のユーリー・イフナト報道官は「損害が出た」と認めた。

ウクライナの軍事ブロガーたちは、前線に危険なほど近い基地にSu-27を露天駐機させることを搭乗員に命じた空軍将校を一斉に非難した。あるブロガーは「100万年戦争をしても羊たちは何も学ばない」と愚か者の比喩を用いて嘆いた

ウクライナ側の狙われやすい航空基地に対しては、このところロシア軍による攻撃が相次いでいる。前線から70kmほどしか離れていないウクライナ南部ドニプロペトロウシク州クリビーリフ郊外のドルヒンツェベ航空基地は昨年秋以降、ロシア軍のランセット自爆ドローンの攻撃を少なくとも4回受け、ミコヤンMiG-29戦闘機とスホーイSu-25攻撃機を少なくとも計3機失っている

新たに2機のSu-27をイスカンデルによってミルホロド空軍基地で大破させたことで、ロシア軍がこの10カ月ほどの間に地上で爆破したウクライナ軍機は少なくとも5機になった。これはウクライナ軍が許容できるような損失ではない。

2022年2月時点で、ウクライナ空軍はSu-27、Su-25、MiG-29といった作戦機を125機ほど保有していた。以後2年4カ月あまりにおよぶ激しい戦いで90機ほどを失ったことが、オランダのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)分析サイト「オリックス(Oryx)」によって確認されている

損失を補うために、ウクライナは数十機のミグやスホーイを支援国から入手したり、長期保管庫から引っ張り出して修復したりしてきた。85機を確保しているジェネラル・ダイナミクス/ロッキード・マーティンF-16戦闘機と、12機前後とみられるダッソー・ミラージュ2000戦闘機が届くまで、ウクライナ空軍はこれらのミグやスホーイで補充して、どうにか戦闘を続けているのが現状だ。

問題は言うまでもなく、F-16やミラージュもまた、白昼に露天駐機すればロシア側のドローンやミサイルによる攻撃にさらされやすいことだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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